第4回ライフサイエンス・サミット(概要)
−「ポストゲノム」のBT戦略の取組み−

日 時:平成15年10月20日(月)13:00〜17:35
    (懇親交流会 18:00〜19:30)

場 所:東京プリンスホテル 「鳳凰の間」
主 催:ライフサイエンス・サミット実行委員会
ライフサイエンス推進議員連盟 会長 尾身 幸次
総合科学技術会議       議員 井村 裕夫
日本バイオ産業人会議  世話人代表 歌田 勝弘
出席者: 574名
講師・パネリスト
12名
ライフサイエンス推進議員連盟
21名
大学関係者
37名
ライフサイエンス関連企業
346名
行政機関・独立行政法人・自治体・弁理士
139名
マスコミ関係
19名

第4回ライフサイエンス・サミットの概要
1.開 会

  
ライフサイエンス推進議員連盟 岸田文雄事務局次長の司会によって午後1時に開会

2.主催者挨拶

  ライフサイエンス推進議員連盟 尾身幸次会長、
  日本バイオ産業人会議  歌田勝弘世話人代表 から挨拶

(発言概要)
尾身会長は「ヒトゲノム解読終了宣言がなされ、ライフサイエンスの新しい時代に入った。この場で、昨年策定されたバイオテクノロジー(BT)戦略大綱をどのように着実に実現していくか、また、ポストゲノムの研究開発戦略の方向性をどうするのか、議論して欲しい。この場の意見を政治の場に反映させたい。」と述べた。歌田代表は「BTは、21世紀の日本を担う重要な技術である。その戦略であるBT戦略大綱を、実行し成果を上げることが重要である。また、日本の強みを活かした独自性、独創性のあるポストゲノム戦略が必要である。」と、今後のBT戦略の実現と展開に産業界の期待を示した。


3.
来賓挨拶

  茂木 敏充 科学技術政策担当大臣、
  河村 建夫 文部科学大臣、
  中川 昭一 経済産業大臣  から挨拶

(発言概要)
新産業を創造し、21世紀を担うライフサイエンスの戦略である大綱の実現には産学政官連携が重要であり、本サミットが有意義であることや、今後の日本のライフサイエンス発展のために努力、支援する旨が各大臣から述べられ、政府の積極的姿勢が示された。


4.バイオテクノロジー戦略大綱の推進

  協和発酵工業梶@平田正代表取締役会長からプレゼンテーション
(発言概要)
前半で、2003年9月3日に開催されたBT戦略会議有識者会合の報告として、会合での産業界の評価、意見を以下のように紹介した。BT戦略大綱の200の詳細行動計画について、各府省から殆どが着手されていると報告されたが、産業界はその内容・成果については、現時点で評価困難なもの、情報開示が不充分なもの、内容に問題があるものが殆どであると評価した。さらに、今後BT戦略大綱の実施にあたっては、(1)総合的に推進するために司令塔機能の構築(2)行動計画の進捗・結果の国民への情報公開(3)実効性のある関係各府省連携体制の構築(4)フォローアップ・リバイスのためのBT戦略会議の継続実施、が必要であると要望したことを紹介した。続いて後半で、産業化プロセスを強化するためには、@日本の強みを生かした領域の選択と集中(蛋白質構造解析、完全長cDNA、SNPs解析、バイオプロセス等)A生物遺伝子資源・情報の充実と標準化・統合化、BT関連人材の育成・導入、知的財産制度の改革等の基盤整備B産学官連携とベンチャー振興C医薬・医療、環境バイオにおけるインセンティブDバイオに対する国民の理解の総合戦略、以上5点を促進することが重要であると提言した。

5.パネルディスカッション<第1部>
     
バイオテクノロジー戦略大綱行動計画の推進

議長:   一橋大学大学院商学研究科 伊丹敬之教授
パネリスト:名古屋大学大学院医学研究科教授 上田 実教授
      明治製菓梶@北里一郎代表取締役会長

      プレシジョン・システム・サイエンス梶@田島秀二代表取締役社長
      三菱化学梶@冨澤龍一取締役社長

(概要)
昨年12月BT戦略大綱が策定されたが、国民生活の向上と産業競争力の強化のためには、戦略を着実に実行していくことが重要である。今回、BT戦略大綱のフォローアップを目的にその行動計画の実施に当たっての現在の問題点、推進するための方策等について議論した。資源投入における選択と集中、バイオツール・生物資源の充実、競争的研究資金の民間への開放拡大、大学の特許戦略、医療・医薬の薬価・治験の問題、ベンチャー活性化、環境バイオ市場の拡大、機能性食品の強化、国民理解の総合戦略等の話題について、パネリストからプレゼンテーションがなされたあと、会場からの意見も交えた論議がなされた。 多くの議論の中、国民理解の浸透に関してパネリストからは、長期的には学校における生物教育の重要性が、短期的には、産学政官で連携したプロジェクティブな取組みの必要性が意見された。さらに、会場からもJABEX世話人副代表 渡邊氏が教育者、指導者に対する適切な教育とコンテンツが必要であると述べた。この他、医薬・医療の治験・審査に関して(財)微生物化学研究会理事長 野々村氏、日本製薬工業協会会長 永山氏により、日本におけるコスト高、日本からの治験離れ等の問題点が繰返し指摘された。また、藤井基之参議院議員が、産業界によるBT戦略大綱の評価が重要であること、研究開発における減税の効果を検証する必要があることを発言した。

  パネルディスカッション<第2部>
  
「ポストゲノム」のBT戦略について

議長:   総合科学技術会議 井村裕夫議員
パネリスト:国立遺伝学研究所 五條堀孝生命情報・DDBJ研究センター長
      
慶應義塾大学医学部 清水信義教授
      インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス梶@末岡宗広代表取締役社長
      理化学研究所ゲノム科学総合研究センター
       遺伝子構造・機能研究グループ 林ア良英プロジェクト・ディレクター
      中外製薬梶@山崎達美常務執行役員
(概要)
ヒトゲノム配列が完全解読され、新たな研究、産業の加速的な進展が期待されつつも、適切な見通しのライフサイエンス分野の取組みが必要である。こうしたポストゲノム時代のなか、我が国における今後の研究開発、及びその産業化・実用化の方策等について議論した。ゲノムネットワーク研究、バイオインフォマティクス等に関して、遺伝子機能の徹底解明、データの統合整備の必要性と共に、これら情報を利用した個人に対応した医療、健康管理等への実用化を促進することの重要性について、第一部同様、パネリストのプレゼンテーションが行われたあと、論議がなされ会場からも多くの意見が活発に述べられた。 ポストゲノム研究の取組みに関して、日本電気椛濠マネージャー 土肥氏、(独)産業技術総合研究所ティッシュエンジニアリング研究センター長 三宅氏が、研究と一体となったそれを促進する装置、ツールの日本での開発の必要性、方向性について、会場から発言した。また、三共叶齧ア執行役員 中村氏は、創薬研究において多くの候補遺伝子の中から個体レベルで有効性を示すものを分別する技術、研究の必要性を述べた。また、(社)バイオ産業情報化コンソーシアム(JBIC)事務局長 佐藤氏はツール同様、データベースも海外依存度が高いので、日本としても大規模なデータベースセンターを作るべきであると意見した。産業化に関しては、潟Aドバンジェン社長 元木氏が研究を早急に製品化まで持っていくには、基礎的研究から製品までの支援体制、プロセス開発、制度問題まで関係する研究所、企業、府省が一体となって取組む必要があるのではないかとの考えを示した。

6.大会宣言大会宣言の提案・採択
(概要)
本サミットでの議論を踏まえ、参加者の総意として「第4回ライフサイエンス・サミット大会宣言」が採択された。宣言では、@バイオ産業立国を目指した資源の集中投下と総合的推進A世界をリードし競争力強化に資する研究開発の促進B先端技術の融合・活用による研究開発の加速C創業・事業拡大等を加速させる産業化プロセスの強化D治験等の充実強化E世界レベルで競争可能な知的財産戦略の推進F競争力強化のためのバイオ人材の育成G産業発展や研究進展に不可欠な国民理解の増進Hライフサイエンス・サミットからの継続的な政策提言、が謳われている。なお、D治験等の充実強化の項目は、本サミットで重要性の指摘が相次いだことが反映され、急遽宣言に盛り込まれたものである。

7.閉会挨拶総合科学技術会議 井村裕夫議員からの閉会挨拶
(発言概要)
BT
戦略大綱も実行に向け多くの問題を抱えているが、有識者会合を含むBT戦略会議の場や本サミットのような場でのフォローアップを繰り返すことが重要であると述べた。さらに、ポストゲノム研究に関しては、ゲノムネットワークを始め、様々な研究が必要であると共に、研究の早期実用化に向け、産学政官が連携し総力を挙げて取り組むことの必要性を強調し、大会を締めくくった。以上

「懇親交流会 −バイオジャパン:戦略から実行へ−」

日 時:平成15年10月20日(月)18:00〜19:30
場 所:東京プリンスホテル 「プロビデンスホール」
主 催:
日本バイオ産業人会議(JABEX)
(
)バイオインダストリー協会(JBA)
()農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
()地球環境産業技術研究機構(RITE)
バイオテクノロジー開発技術研究組合(RAB)
()海洋バイオテクノロジー研究所(MBI)
()リバース・プロテオミクス研究所(REPRORI
()バイオ産業情報化コンソーシアムJBIC)
()ヒューマンサイエンス振興財団(JHSF)
日本製薬工業協会(JPMA)
()かずさDNA研究所生分解性プラスチック研究会(BPS            (順不同)

サミット終了後の午後6時からは、JABEX、JBA、JBICなどバイオ関連団体12団体が主催する懇親交流会「バイオジャパン:戦略から実行へ」が開催され、我が国の産学政官の主要メンバーが出席し、交流・親睦を深めた。   会はJABEX事務局長を務めるJBA地崎専務理事の司会のもと、歌田代表の開会挨拶で始まり、「BTは夢である時期は過ぎ、実行から成果をあげる段階に来ている」と、バイオ産業立国の創造への産業界の意思を示した。続いて、尾身会長が、ライフサイエンス振興のために政府、ライフサイフサイエンス議員連盟メンバーとして全力を尽くすと挨拶し、次いで、細田博之内閣官房副長官が来賓挨拶に立ち、ライフサイエンスは日本の21世紀の米とも言うべき大事な分野であり、米国の動きに負けず世界をリードするような発展を遂げることが大切であると述べた。また、小泉首相のメッセージも祝電として紹介された。井村議員の発声で乾杯のあと、懇談に移った。会は終始和やかに進行し、JABEX 渡邊格世話人副代表の閉会挨拶で終了した。