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研究奨励バイオインダストリー奨励賞更新日:2017年9月14日

第1回バイオインダストリー奨励賞受賞者の紹介

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本年より創設された「バイオインダストリー奨励賞」は、バイオサイエンス、バイオテクノロジーに関連する応用を指向した研究に携わる有望な若手研究者とその業績を表彰するものです。東京大学大学院特任教授・阿部啓子氏を選考委員長とする22名の選考委員からなる選考委員会は、81件の応募の中から厳正な審査を経て、以下の10名の受賞者を決定しました。




奨励賞受賞者10人の方々から受賞内容とメッセージをいただきました


・岩城 光宏氏  (国研)理化学研究所 生命システム研究センター    
17_award_shourei_iwaki.jpg「幹細胞分化の力学制御を指向したDNAナノデバイス開発」
 細胞や細胞内の分子は、周囲からの力学的な刺激を受けて、細胞の分化や遺伝子発現を調節していることが知られていますが、その仕組みは良く分かっていません。細胞や分子がどのような力を受けているか定量する技術の不足が問題の1つであり、本研究では、細胞内、細胞間の力をイメージングできるDNAナノデバイスの開発を行いました。DNAを材料とした、生体適合性の高い世界最小の人工バネであり、このバネを幹細胞に組み込み、力のイメージングと操作を行うことで、分化の高効率化や早期培養法の確立に役立つと期待しています。今回、奨励賞をいただくことが出来てとても光栄です。研究を加速させてさらなる発展を目指します。

 

・木村 郁夫氏  東京農工大学大学院農学研究院
17_award_shourei_kimura.jpg 「腸内細菌発酵産物による宿主エネルギー代謝制御機構の解明」
この度は、記念すべき第1回バイオインダストリー奨励賞を賜り、大変光栄でございます。食、特に食物繊維を由来とする腸内細菌発酵産物の短鎖脂肪酸、また食用油に含まれるオメガ3,6,9脂肪酸のような不飽和脂肪酸が抗肥満・代謝機能改善を示すに至る分子メカニズムを解明すべく、宿主側の栄養センサー脂肪酸受容体に焦点をあてて研究を進めております。また、本研究の中で見出された食由来の腸内代謝物、発酵産物を新たな機能性食品素材として創出することで、研究成果を社会に還元したいと考え、今後も引き続き研究に邁進したいと思っております。最後になりましたが、ご指導頂いております先生方、共同研究者の皆様方に深く感謝致します。

 

・後藤 佑樹氏  東京大学大学院理学系研究科    
17_award_shourei_gotou.jpg 「試験管内人工生合成系による新規生物活性化合物の創製」
 生物が行う物質生産反応システム、いわゆる生合成系を用いた既存戦略では、天然に存在する反応系を活用し、天然に存在する化合物(やその類縁体)を作るのが主流でした。一方で本研究では、必要な合成能を有する『人工生合成系』を構築し、人工の新規生物活性化合物を生み出しています。具体的には、生合成系に適切な人工改変を施すことで、多彩な化合物の合成に適用できる人工生合成系を複数開発し、この人工生合成系を用いて大規模な化合物ライブラリーを構築し、そこから新規生物活性化合物を創製する研究も展開しています。一連の研究は、人工的にデザインした高機能生合成系の構築、天然物骨格の人工有用化合物への転用、中分子化合物を用いた創薬戦略といった幅広い分野に大きなインパクトを与える革新的技術となると期待されます。

 

・高橋 征司氏  東北大学大学院工学研究科    
17_award_shourei_takahashiseiji.jpg 「天然ゴム生合成機構の解明と試験管内ゴム合成」
 植物のラテックスより生産される天然ゴムは、タイヤ製造などに不可欠な天然ポリマーです。本研究では、天然ゴム高生産系構築を目的に、長年の謎であった生合成機構の解明に取り組み、重合酵素とその活性を増強させる相互作用タンパク質群を同定しました。それらを活性型酵素として再構成させ、分子量106以上にもおよぶゴム分子をin vitroで合成させることに成功しました。本成果は、天然ゴム高生産系開発のみならず、新奇バイオポリマー創出に向けた重要な基盤となります。この度の受賞に際し、共同研究者の皆様、選考に携わって頂いた皆様に心より感謝申し上げます。本賞を励みに、産業応用に向けた研究を着実に展開してゆく所存です。
 

 

・高橋 康史氏  金沢大学理工研究域     17_award_shourei_takahashiyasufumi.jpg
「超解像度ケミカルイメージングを実現する電気化学顕微鏡の開発」
細胞が生成・消費する化学物質の濃度プロファイルを、微小電極を利用して、単一細胞レベルで計測する顕微鏡を開発しました。この顕微鏡は、1989年に、テキサス大学のBard教授らにより開発されました。しかし、電極を利用するため解像度が課題とされてきました。そこで、装置、制御プログラム、ナノ電極の開発を行い、その解像度を世界最高レベルに高め、この5年間で単一細胞センシングの新たな分野を切り開くことができました。このような研究成果や大変名誉な賞を頂くことができたのは、これまでご指導していただきました先生方、研究室のメンバー、家族の支援のおかげであり、深くお礼申し上げます。

 

・西川 恵三氏  大阪大学 免疫学フロンティア研究センター    
17_award_shourei_nishikawa.jpg 「画期的な骨粗しょう症の予防・治療につながる機能性食品の研究」
この度はバイオインダストリー奨励賞を授与頂きましたこと御礼申し上げます。破骨細胞は骨破壊を通じて骨の恒常性維持に重要な役割を担っていますが、加齢による破骨細胞の異常な活性化は骨粗鬆症の原因になります。エピジェネティクスを介した新しい破骨細胞制御に関する我々の成果を端緒として、骨粗鬆症治療を目指したエピゲノム創薬のための基礎研究を進めています。最近では、エピジェネティクスを阻害する食品由来の天然物化合物を探索し、骨粗鬆症の治療・予防に有効な候補化合物を見つけることに成功しました。今後も食品科学と医学の融合研究を通じて、高齢者の運動器の健康増進並びに健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えています。

 

・福田 真嗣氏  慶應義塾大学 先端生命科学研究所    
17_award_shourei_fukuda.jpg 「腸内細菌叢機能の包括的理解と腸内デザインによる新規ヘルスケア産業の創出」
ヒトの腸管内には多種多様な腸内細菌が生息しており、その集団を腸内細菌叢と呼びます。われわれはこれまでに、腸内細菌叢の機能を理解するための新技術としてメタボロゲノミクス®を構築し、腸内細菌叢より産生される様々な代謝物質が、健康維持や疾患予防、あるいは逆に疾患発症や増悪に関与することを明らかにしてきました。本技術を基盤とし、これまでに得られた研究成果を社会実装する目的で、腸内デザイン推進ベンチャー㈱メタジェンを設立しました。当社では、腸内環境情報から個々人の健康状態を評価するヘルスケア事業を足がかりに、将来的には、腸内細菌叢を標的にした機能性食品開発や創薬など、個々人の腸内環境を適切に制御することで病気を未然に防ぐ「個別化ヘルスケア社会」を実現したいと考えています。

 

・本田 孝祐氏  大阪大学大学院工学研究科    
17_award_shourei_honda.jpg 「耐熱性酵素を用いた「インビトロ代謝工学」による有用物質生産」
この度はバイオインダストリー奨励賞にご選出いただき、心より感謝申し上げます。記念すべき第1回目の受賞者としての栄誉に恥じぬよう、バイオによるものづくり産業の発展に貢献して参ります。受賞対象となった研究課題では、様々な耐熱性酵素を細胞外で組み合わせ、有用物質生産に特化した人工代謝経路を自在に構築する独自技術「in vitro代謝工学」の開発に取り組んできました。これまでに本法による有機酸やアルコール類のワンポット生産を実証してきたほか、補酵素の安定化技術など種々の要素技術開発にも成功しています。現在は、開発成果の実用化に向けた民間企業との共同研究にも取り組んでいます。
 

 

・栁澤 琢史氏  大阪大学 国際医工情報センター    
17_award_shourei_yanagisawa.jpg 「ブレインマシンインターフェイスによる脳機能の修復と補填」
脳信号だけから、人の意図などを推定しロボットやパソコンを動かす技術をブレインマシンインターフェイス(BMI)と呼びます。私は、神経難病などで体が動かない患者さんの頭蓋内に電極を留置し、BMIを用いることで、失った運動・意思伝達機能を補填できることを示しました。また、非侵襲的なBMIを使うことで、腕などを失った後に生じる難治性の痛みを軽減できることを示しました。これらの研究について、バイオインダストリー奨励賞を受賞致しますことは、大変栄誉である上に、真に患者さんの福音となるBMI技術の医療応用に向けて大きな激励を頂いたと感じております。ご支援頂きました全ての方に深く感謝申し上げます。
 

 

・山田 晃嗣氏  徳島大学大学院社会産業理工学研究部    
17_award_shourei_yamada.jpg 「糖輸送体の活性制御による植物の新規防御機構の解明」
病原体は宿主より栄養を吸収することで増殖します。その一方で、宿主が病原体の栄養摂取に対抗する機構を備えているかは不明でした。本研究では、植物が防御応答時にリン酸化による制御を介して糖輸送体の糖吸収活性を増強させ、積極的に細胞外の糖を回収し、病原体の糖摂取を阻害していることを見出しました。本研究により、糖吸収活性の制御という植物の新規防御機構が明らかにされたとともに、病原体の感染における糖摂取の重要性が示されました。多くの植物病原体は炭素源として糖を感染時に摂取しています。今後、植物の糖吸収活性の増強を指標にした分子育種や薬剤の開発により、多様な病原体に対する防御機構を植物に付与できることが期待されます。

 


◇ 第1回バイオインダストリー大賞・バイオインダストリー奨励賞 表彰式・受賞記念講演会(10/11、横浜)のご案内はこちらをどうぞ。
http://www.jba.or.jp/pc/activitie/research_encouragement/info/002680.html  

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