「バイオサイエンスとインダストリー」バックナンバー 目次と抄録

2012年 VOL.70 NO.4

巻頭言  
目で見るバイオ 太古の地層から生きた微生物を発見-超高解析度二次イオン質量分析計を用いた海底下生命圏の解析- 諸野祐樹
キーワード:海底下生命圏、NanoSIMS、安定同位体、単一細胞解析 
総  説 植物ホルモン「オーキシン」の生合成主経路の解明とその応用  笠原博幸
The main auxin biosynthetic pathway was settled: a promising target of plant growth regulation
オーキシンは植物の形態形成や環境応答の制御において重要な役割を果たす植物ホルモンである。植物の主なオーキシンとしてインドール-3-酢酸(IAA)が同定されたのは今から70 年ほど前のことであるが、これまで植物のIAA 生合成経路は解明されていなかった。しかし、最近ついにIAA の生合成主経路がモデル実験植物のシロイヌナズナで明らかにされた。本稿では、オーキシンの生合成に関する最近の動向について紹介する。
キーワード:生長制御、植物ホルモン、オーキシン、生合成、質量分析装置
解  説 猛毒の硫化水素をエネルギー源とする深海生物の生存戦略  井上広滋
Strategy of deep-sea invertebrates to utilize toxic hydrogen sulfi de as energy source
深海底から高温の海水が噴き出す熱水噴出域には、貝類、甲殻類などの無脊椎動物が高い密度で生息している。これらの生物の多くは、体内の共生菌が硫化水素を使って合成する有機物に依存して生きている。有機物を得るために、宿主は噴出水から硫化水素を取り込んで共生菌に与えなければならない。その際、硫化水素の毒性をどのように回避しているのだろうか。その機能は、タウリン合成系の応用により得られた可能性がある。
キーワード:熱水噴出域、硫化水素、チオタウリン、ヒポタウリン、共生
イトゴカイと細菌の共生によるバイオレメディエーション  國弘忠生・堤 裕昭
Bioremediation of organically enriched sediment using symbiosis eff ectiveness between Capitella sp. and bacteria
海洋の有機汚泥域に広く生息する堆積物食性小型多毛類イトゴカイは、堆積物を撹乱し好気的な環境を形成することで、有機物分解を促進している。この作用を利用した魚類養殖場海底の有機汚泥浄化技術が提案されている。この解説では、イトゴカイを用いた汚泥浄化(バイオレメディエーション)技術と、その基礎に当たるイトゴカイと細菌の相互関係について説明する。
キーワード:イトゴカイ、Alphaproteobacteria、バイオレメディエーション、バイオターベーション、ガーデニング
セルラーゼ高生産糸状菌Acremonium cellulolyticusの育種  藤井達也
The role of multiple protein import machineries in plastid biogenesis and function
セルロース系バイオマスを利用したリファイナリー技術の開発は危急の課題となっている。ここでは、糖化酵素(セルラーゼ・ヘミセルラーゼ)の生産菌である糸状菌Acremonium cellulolyticus について、最新の研究動向を紹介する。
キーワード:バイオマス、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、Acremonium cellulolyticus、バイオマスリファイナリー
微生物コミュニティにおける細胞間シグナル伝達機構  豊福雅典・田代陽介・野村暢彦
Intercellular signaling in bacterial communities
微生物は見た目の印象よりも随分と賢い。近年、微生物は集団を形成し、お互いにコミュニケーションを取っていることが明らにされている。このような知見は学術的に重要な上、新たなテクノロジーの創成をもたらすことが期待される。
キーワード:微生物間コミュニケーション、バイオフィルム、複合微生物系、メンブランベシクル
KNApSAcK Familyデータベース:メタボロミクスから展開する植物の多目的活用  中村由紀子・森田(平井)晶・西岡孝明・金谷重彦
KNApSAcK Family Database : Metabolomics extended to multifaceted plant usage
細胞・組織全体の質量分析により得られる大量スペクトル情報からのメタボロームを推定する目的で、医科学文献に基づいて代謝物-生物種関係データベース(KNApSAcK Core)を開発し、公開した。さらに、世界の地域ごとに使用されている薬用/食用植物、薬用植物の生物活性、二次代謝物の活性、漢方、ジャムウにおける生薬配合、食用植物、さらにはハーブについての情報を収集しKNApSAcK Familyデータシステムを構築した。これらのデータベースを紹介するとともに、地球上に存在する代謝物種についての考察を行う。
キーワード:二次代謝物、データベース、薬用植物、食用植物、メタボロミクス
醸造生産に用いられている泡盛黒麹菌の比較ゲノム解析  水光正仁・榊原陽一
Comparative genomics of Kuro -koji molds used for production of Awamori, traditional distilled spirit in Okinawa
次世代シーケンサーを用いた比較ゲノム解析を行った結果、黒麹菌の遺伝子の差異が泡盛風味に大きく影響することが示唆された。一方、黒カビで同定されたカビ毒(オクラトキシンA)生産関連遺伝子を持たないことも明らかとなり、泡盛黒麹菌の安全性が改めて確認された。
キーワード:泡盛、黒麹、次世代シーケンサー、比較ゲノム解析
トピックス バイオベースプラスチックの新素材―合成酵素と材料物性―  佐藤 俊・柘植丈治
A new face in bio-based plastic materials -biosynthetic enzymes and material properties-
キーワード:バイオベースプラスチック、PHA、立体特異的水和酵素、Pseudomonas 属細菌
オオムギのムギネ酸類金属錯体輸送体の解明  荒木良一
Metal-phytosiderophore transporters in barley
キーワード:ムギネ酸、鉄、輸送体、オオムギ
ウィスキーの活性酸素消去能とその活性成分  古賀邦正
Reactive oxygen scavenging activity of whisky and its active compounds
キーワード:ウイスキー、活性酸素消去能、SOD 様活性、ポリフェノール
学会見聞記 日本農芸化学会大会 野田陽一、新井博之、井上 順、森 直紀、永田晋治、伏信進矢、加藤久典、中嶋正敏、野尻秀昭、永田宏次
バイオの窓 大学のサマースクールに参加して 塩野義人
産業と行政 食の「安全」と「安心」を考える 金田直樹
平成23年度 地域新成長産業創出促進事業 課題解決セミナー「成功事例に学ぶ~バイオベンチャー企業にむけて~」  岡崎 靖
首都圏バイオネットワーク 平成23年度産学連携セミナー「腸管免疫とヘルスケア~新しい製品化技術の糸口を求めて~」  井上恵雄
国際動向 The Malaysian Biotechnology Industry Dato' Dr. Mohd Nazlee Kamal
発展途上国と先進工業国の組換え作物の商業栽培面積が同じになった 遺伝子組換え作物商業栽培の世界における現状(2011年) 冨田房男
上海バイオ産業調査団報告 塚本芳昭、穴澤秀治
JBAニュース 新資源生物変換研究会シンポジウム セルロソームとセルラーゼの新たな展開:シュガー・プラットフォーム”の構築に向けたクロストリジウム 田丸 浩
日中韓、協力連携協定 署名成る  
JBAアルコール・バイオマス研究会「バイオマス研究が日本を元気にする ~キーワードは「糖化技術」とサステイナブルエネルギー~」  
「大学研究成果の大学による特許出願」と「日本の大学との研究協力」に関するJBA会員企業の意見と提言(骨子)  
書 評 理工系学生のための 生命科学・環境科学 土橋和之
バイオカレンダー  
経産省生物化学産業課人事異動 
自己紹介・2012 年度 トピックス委員・求人求職のお知らせ 
次号予告   
編集後記   

 

バックナンバー一覧へ戻る

▲ページトップ