「バイオサイエンスとインダストリー」バックナンバー 目次と抄録

2014年 VOL.72 NO.3

     

巻頭言 長期温暖化対策と再生可能エネルギーの役割 茅 陽一
目で見るバイオ タンパク質イメージング技術の新展開  堀 雄一郎・菊地和也
  キーワード:PYPタグ、発蛍光プローブ、蛍光イメージング、タンパク質標識、環境応答性
総  説 膜輸送体タンパク質の完全インビトロ機能解析系 野澤 彰・戸澤 譲
  Complete in vitro system for the functional analysis of membrane transport proteins
 生体において、細胞は細胞膜を介して細胞外部と多様な物質の交換を行うと同時に、各細胞内でも、細胞質と各細胞内小器官の間で生体膜を介する物質輸送系を有する。これらの物質輸送を担うのが各溶質に対応する一群の膜輸送体タンパク質である。生体内に存在するそれぞれの膜系において多様な物質の輸送が必要とされることから生物の持つ遺伝子の約10%を膜輸送体タンパク質が占めている。これら多くの膜輸送体タンパク質の機能を明らかにするために、簡便で感度の高い解析技術の開発が望まれてきた。本稿では、筆者等がこれまでに独自に構築してきたコムギ無細胞タンパク質合成系を基盤とした膜輸送体タンパク質の完全インビトロ機能解析系について紹介する。
  キーワード:コムギ無細胞タンパク質合成系、膜輸送体タンパク質、リポソーム
植物の香りと色の代謝工学が拓く新時代  有村源一郎・西原昌宏・下田武志
  New era of metabolic engineering of plant aromas and floral colors
 ポストゲノム時代の今、植物の香りと色の代謝系における遺伝子が次々に発見されている。これらの遺伝子産物である二次代謝物質は、植物が他の生物と相互作用するための重要な役割を担っている。これらの遺伝子や代謝に関わる基盤研究は、生物の共進化と多様性のメカニズムを紐解くための重要な手掛かりにつながるものである。また、植物の香りを改変した遺伝子組換え植物を応用すれば、農作物本来の防御能力を用い、環境に優しい害虫駆除法を開発できる可能性がある。さらに、花の色と香りを同時に改変することは、商品価値の高い新規園芸植物の開発につながるだけでなく、ハチなどの花粉媒介昆虫と植物の共進化のメカニズムを紐解くことができる。
  キーワード:植物の香りと色、テルペン、Herbivore-induced plant volatiles(HIPV)、生物間相互作用、アグリバイオ
解  説 末梢血液細胞の遺伝子発現解析による消化器がん診断検査法の開発 酒井佳夫
  Development of diagnosis method for digestive system cancers by gene expression analysis of peripheral blood cells
 消化器がんにおいて見られる生体反応を、末梢血液細胞の遺伝子発現解析により評価した。血液を用いた遺伝子発現解析による新たながん診断法について、その背景とともに解説する。
  キーワード:末梢血液細胞、遺伝子発現、DNA マイクロアレイ、がん局所炎症状態
海洋由来の放線菌が生産する二次代謝産物の新規薬剤探索用ライブラリーの構築  高木基樹・新家一男
  Construction of a natural product library containing secondary metabolites produced by marine-derived actinomycetes
 創薬スクリーニングに用いる天然化合物ライブラリーを構築するために、海綿、ホヤ、海底土壌やマングローブ土壌より放線菌を単離し、それら放線菌が生産する二次代謝産物の網羅的な解析を行った結果について紹介する。
  キーワード:放線菌、海綿、天然化合物、創薬スクリーニング、ケミカルスペース
二核鉄型酸化酵素の異種発現と高選択酸化プロセスへの応用  古屋俊樹・木野邦器
  Heterologous expression of binuclear iron monooxygenases and their application to selective oxidation processes
 二核鉄型酸化酵素は、活性中心に存在する2 つの鉄イオンを利用してユニークかつ有用な反応を触媒する。本稿では、放線菌由来の二核鉄型酸化酵素を中心に紹介し、特に本ファミリー酵素の高選択酸化プロセスへの応用に向けた異種発現の研究について詳しく解説する。
  キーワード:酸化酵素、二核鉄型酸化酵素、異種発現、放線菌、高選択酸化プロセス
リパーゼのユニークな反応機構を利用した機能性脂質の製造  永尾寿浩
  Industrial production of functional lipids based on unique lipase reaction mechanisms
 リパーゼは油脂を加水分解する酵素で、その反応機構は非常にユニークである。この性質を把握し、上手に使いこなすことにより、機能性脂質の産業的な製造や精製を行うことが可能となる。
  キーワード:リパーゼ、反応機構、機能性脂質、DHA、リノール酸メントールエステル
システイン発酵生産から見えてきたチオ硫酸経路の役割 大津巌生・仲谷 豪・玉越 愛・河野祐介
  A physiological role of sulfite revealed in cysteine fermentation
 これまでチオ硫酸経路で不明であったS-スルホシステインからシステインへの還元に関与する 酵素の同定と、その過剰発現がシステイン発酵生産に有効であることを見いだした。また亜硫酸イオンの生理的役割についても紹介する。
  キーワード:大腸菌、システイン、硫黄同化、酸化還元、アミノ酸発酵生産
トピックス 自発的に細胞に入り込む細胞用ナノ蛍光温度プローブの開発  辻 俊一・内山聖一
  Intracellular nano fluorescent thermometer with the ability to enter cells
  キーワード:細胞内温度、蛍光、イメージング、細胞導入、カチオン型高分子
PYP タグと発蛍光プローブを用いた生細胞タンパク質イメージング法の開発と応用 堀 雄一郎・菊地和也
  Development and biological application of method for live-cell imaging of proteins using PYP-tag and its fluorogenic probes
  キーワード:PYP タグ、発蛍光プローブ、蛍光イメージング、タンパク質標識、環境応答性
好熱好酸性・鉄硫黄酸化古細菌による亜ヒ酸含有廃液処理 沖部奈緒子
  Formation of biogenic scorodite(FeAsO4・2H2O)for treatment of As(Ⅲ)-containing waste water
  キーワード:ヒ素、スコロダイト、鉄酸化古細菌、Acidianus brierleyi、銅製錬廃液
シアノバクテリウム由来ホモフェニルアラニン合成遺伝子の同定と大腸菌を用いた物質生産への応用 纐纈健人・三橋 敏・田畑和彦
  Identification of homophenylalanine biosynthetic genes from cyanobacterium and application to microbial production using Escherichia coli
  キーワード:ホモフェニルアラニン、シアノバクテリア、Anabaenopeptin、発酵生産、大腸菌酵
接ぎ木によって接ぎ木相手を改良する  葛西厚史・原田竹雄
  Improvement of grafted partner by grafting
  キーワード:接ぎ木、RNA 輸送、篩管、特性改良
シリーズ:バイオが貢献して拓く未来社会 ⑧ 植物の品種改良技術の最近の進歩と将来展望 江面 浩
バイオの窓 うれしい便り 田村具博
国際動向 名古屋議定書に係る国内措置の検討状況 井上 歩
シリーズ:グローバル連携 ②
スコットランドのライフサイエンス産業が成功への道を開く Sharon McKendry
JBAニュース 発酵と代謝研究会 月桂冠見学会と講演会 安藤晃規
書 評 しくみからわかる生命工学 田畑和彦
会員の動き  
次号予告   
2014年度トピックス委員 
編集後記   

 

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