「バイオサイエンスとインダストリー」バックナンバー 目次と抄録

2014年 VOL.72 NO.5

     

巻頭言 農芸化学と食品そしてバイオインダストリー 清水 誠
総  説 放線菌の創薬資源としての多様性:希少放線菌代謝産物からの物理化学的性質を優先した物質探索 高橋洋子
  Microbial resources for drug discovery; Search for new products from secondary metabolites of rare actinomycetes by physicochemical screening
 微生物資源拡大を目的に放線菌類の分離方法と分離源の検討がなされた。一般的に用いられる寒天培地が活性酸素を発生することを見いだし、ラジカルスカベンジャーを用いることによって新たな菌株を分離できた。また、植物の根から希少放線菌が多数分離され、土壌とは異なるフローラが観察された。希少放線菌の培養液から化合物の物理化学的性質を優先させたPhysicochemical Screeningにより4つの新規化合物が発見され、のちに、抗原虫活性や赤血球溶血阻害等の生物活性が見いだされた。放線菌1 菌株の単一の培養液から10 種類以上の新規および既知化合物が単離され、生産物質の多様性が示された。
  キーワード:創薬資源、放線菌代謝産物、Rare Actinomycetes、Physicochemical Screening、Endophytes
魚の生殖腺は成長コントロールの司令塔 三浦 猛・三浦智恵美
  The role of gonads for growth in teleosts
 脊椎動物の成長は下垂体より産生分泌される成長ホルモンによってコントロールされている。しかし魚類では、生殖腺が成長ホルモンを産生し、体成長を直接コントロールする器官であることが実験生物学的に証明され、“生殖腺が体成長をコントロールする下垂体と並ぶ中枢器官”であることが明らかとなった。魚類養殖では、養殖魚の性成熟が生産効率や製品の質に悪影響を及ぼす場合が多いが、“生殖腺が直接成長を制御する”という視点に立った対策を行うことにより、このような養殖魚の成熟によるリスクを回避することが可能であることが示された。
  キーワード:成長と成熟、生殖腺、成長ホルモン、魚類養殖、性差
解  説 ビール醸造の発酵過程におけるビッグデータの活用  大矢禎一
  Positive use of big data in beer fermentation
 ビール醸造における生理状態を表す指標として、従来から「酵母の活性」が測定され利用されてきた。今回CalMorph で取得した高次元の酵母形態データを用いることにより、発酵過程における下面発酵酵母(ラガー酵母)のダイナミックな活性変化を追跡することに成功した。本稿では、ここで用いた統計学的解析手法について概説する。
  キーワード:下面発酵酵母、活性、Saccharomyces pastorianus、細胞形態、次元圧縮
オリゴ糖異性化酵素の分子基盤と有用オリゴ糖合成への応用  佐分利 亘
  Molecular basis of cellobiose 2-epimerase and application to production of a functional oligosaccharide
 オリゴ糖のエピメリ化を触媒する唯一の酵素、セロビオース2-エピメラーゼについて、その分布、糖質代謝における機能、分子構造、ならびに生理機能性オリゴ糖の効率合成への応用について紹介する。
  キーワード:異性化酵素、セロビオース2-エピメラーゼ、エピラクトース、反応機構、糖質代謝
アミノ酸の安定窒素同位体を利用した生態系ピラミッドの可視化  力石嘉人
  Illustration of food web structure based on stable isotopic composition of amino acids
 生物に含まれるアミノ酸の窒素同位体の組成(15N/14N)の極わずかな変化を調べることで、その生物が生態系ピラミッドのどの位置にいるかを推定することができる。本稿では、その原理と代表的な研究例を紹介する。
  キーワード:安定同位体、窒素、アミノ酸、栄養段階、食物連鎖
かすかな香りの効用 ~香りの定性定量分析および生理心理評価~  松本 清・大貫宏一郎・清水邦義
  Scent aroma with great potential: Function evaluation by qualitative and quantitative analysis and physiological and psychological assessment
 香りの効果的な活用の1 つの鍵は“かすかさ”であろう。生理心理評価を中心とした香りの機能性評価と香り(揮発性物質)の定性定量分析により見いだされた知見を中心に、特に“かすかな香り”の効用について紹介する。
  キーワード:かすかな香り、定性定量分析、生理心理評価
生物活性低分子化合物の標的タンパク質の効率的同定法  倉持幸司・諸橋賢吾・志村聡美・菅原二三男
  Identification of target proteins of bioactive small molecules by efficient affinity purification
 医薬品などの生物活性リガンドと相互作用するタンパク質を究明することは、リガンドの作用を分子レベルで理解するための一助となる。本稿ではリガンド結合タンパク質の探索技術に関する、筆者らの最近の研究成果を解説する。
  キーワード:PD-Seq 法、アフィニティー精製、PEGA 樹脂、ファージディスプレイ
トピックス エピジェネティック修飾による人工的な遺伝子スイッチの創製  谷口純一・杉山 弘
  Creation of artificial genetic switch based on epigenetic modification
  キーワード:人工遺伝子スイッチ、ヒストンアセチル化、DNA 塩基配列特異性、DNA マイクロアレイ、小分子化合物
未成熟柿果実の胆汁酸吸着能と血中コレステロール低減効果  松本健司
  Bile acid-binding ability of unripe persimmon fruits and their hypocholesterolemic effect
  キーワード:柿、未成熟果実、胆汁酸吸着、血中コレステロール低減効果
龍涎香(りゅうぜんこう)の主成分アンブレインの酵素合成  上田大次郎・星野 力・佐藤 努
  Enzymatic synthesis of ambrein, a major constituent of ambergris
  キーワード:龍涎香、アンブレイン、生合成、オノセロイド、テルペン環化酵素
構造多様性を創出する新奇テルペノイド合成酵素の発見  尾崎太郎・葛山智久
  Discovery of unusual isoprenyl diphosphate synthase that expands structural diversity of terpenoids
  キーワード:テルペノイド、放線菌、生合成、構造多様性、生体触媒
除草剤の解毒代謝に関わるイネのシトクロムP450 遺伝子CYP72A31  雑賀啓明・土岐精一
  Rice cytochrome P450 gene, CYP72A31,involved in herbicide-tolerance
  キーワード:アセト乳酸合成酵素、ビスピリバックナトリウム、除草剤解毒代謝、シトクロムP450
バイオの窓 バイオサイエンスの実学と虚学 古賀雄一
産業と行政 消費者向け遺伝子検査ビジネスについて 柳沼 宏
革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)について 木村直人
新しい機能性表示制度について 山本(前田)万里
国際動向 2014 BIO International Convention 参加報告 塚本芳昭・田中裕教・森下節夫
Bio-Europe Spring2014 参加およびMedicon Valley Alliance 訪問 田中裕教・高倉 薫
2013 年世界の知的財産権の変動 バイオ・ライフサイエンス分野の特許戦略の新たな構築〈後編〉 河部秀男
JBAニュース 2013 年度 知的財産委員会活動報告「大学の知財を産業界で活用するために」
書 評 Microbial Production From Genome Design to Cell Engineering 依田幸司
Edible Oil Processing from a Patent Perspective 河部秀男
JBA人事異動  
会員の動き  
次号予告   
編集後記   

 

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