過去と未来をつなぐもの
細胞核のなかには複数の染色体があり、その本体がDNA。
このDNAのなかに遺伝子があり、DNA上に並ぶアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4つの物質の組み合わせで遺伝情報を伝えています。

男女の差を形づくる染色体

人の染色体
ヒトの染色体の顕微鏡写真。
23対の染色体がそれぞれに異なる蛍光色素で染められている。
 細胞核には遺伝子を含んだ染色体という物質が入っています。ヒトの場合、染色体は1つの細胞に46本あり、そのうち44本は常染色体、残りの2本は男女の性別を決定づける性染色体です。性染色体にはXとYの2種類があり、女性の場合はX染色体が2本、男性はX染色体とY染色体が1本ずつというように、男女によって異なっています。
 46の染色体は父親から受け継いだものと、母親から受け継いだものがペアとなって23組にわかれています。無性生物でない場合、他の生物でも同じように父と母から1本ずつ受け継ぎますが、本数や形状は生物の種類によって異なります。

遺伝子はDNAに含まれる
 すべての染色体には、糸状になったDNA*が鎖のようにつらなっています。DNAは遺伝子情報をのせた物質のこと。太さは髪の毛の約4万分の1ぐらいですが、その長さは一つの細胞で約1.8mにも達します。
 DNAのなかで実際に遺伝の機能を持っているものはわずか3〜5%に過ぎません。その他の部分がどのような機能を持っているのかは、まだはっきりとわかっていません。
 このDNAのセットをゲノムといいます。ヒトゲノムとは、人間のゲノムのこと。稲ならイネゲノムとなるわけです。

2つのらせんがからまるDNA
 DNAの形態はらせん階段のようにうねった2つの糸で構成されることから、「2重らせん構造」と呼ばれています。どちらの糸にもお互いの遺伝子に対応した情報が含まれています。
 2重らせん構造はDNAが自分のコピーをつくるときに効率的な形です。わたしたちの体は背丈、髪の毛、爪などが伸びるときなどに細胞が分裂して増殖していきます。このとき新たな細胞にDNAの情報を伝えるため、2重らせんが1本ずつにわかれ、別々の細胞を形成していくのです。
DNA2重らせん

4つの文字が遺伝子情報を伝える
 ではDNAはどうやって遺伝に関する情報を伝えているのでしょうか?
 DNA上にはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の物質(塩基)が並んでいます。この配列により、すべての遺伝子情報が記録されているのです。英語が26文字のアルファベットで表されるように、DNAは4種類の記号で遺伝子情報を表現しているともいえます。人体のA、T、G、Cの数は、およそ60億文字です。実に百科事典700冊分もの膨大な情報量になります。

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