バイオテクノロジーに関すること
Q1. バイオテクノロジーとはどんなものですか。
Q2. 遺伝子やDNAとはどんなものですか。

遺伝子組換え技術について
Q3. 遺伝子組換え技術とはどんな技術ですか。
Q4. 何の為に遺伝子組換え技術を用いるのですか。
Q5. 従来の品種改良と遺伝子組換えとはどう違うのですか。
Q6. 遺伝子組換え農作物はどのようにして作るのですか。
Q7. 遺伝子組換え技術とクローン技術とはどう違うのですか。

遺伝子組み換えの現状について
Q8. 我が国では遺伝子組換え技術を用いてどんな農作物が開発され、商品化されているのですか。
Q9. 我が国にすでに輸入されている遺伝子組換え農作物はありますか。
Q10. 現在、遺伝子組換え農作物の作付け面積はどのくらいですか。
Q11. 現在、どこでどんな生物について、遺伝子組換え技術を利用した研究が行われているのですか。

遺伝子組換え食品について
Q12. 遺伝子組換え技術を利用した食品にはどのようなものがあるのですか。
Q13. バイオテクノロジーを使って作られた食品と遺伝子組換え食品とはどう違うのですか。
Q14. 遺伝子組換え食品はいつごろから出回っているのでしょうか。
Q15. 実質的同等性とは何ですか。
Q16. 成分組成が変わっている遺伝子組換え食品の場合は、実質的同等性の考え方があてはまらないのではないですか。
Q17. 遺伝子組換え技術によって作られた農作物の食品としての安全性は、どのように確認されているのですか。海外から輸入される農作物の安全性についても同様に確認されているのでしょうか。
Q18. 今までに厚生省による安全性審査が終了した遺伝子組換え食品にはどんなものがあるのですか。
Q19. 安全性評価では、哺乳類の細胞や実験動物を用いて慢性毒性や遺伝毒性などの検査が行われているのですか。
Q20. 遺伝子組換え食品がアレルギーを引き起こすことはありませんか。
Q21. 遺伝子組換え食品がガンを引き起こしたり、胎児に影響を与えたりすることはありませんか。
Q22. 遺伝子組換え食品と、普通の食品とは栄養成分に違いがあるのですか。
Q23. 遺伝子組換えに大腸菌由来の遺伝子を用いると聞きましたが、0-157のような病原性はないのですか。
Q24. 遺伝子組換え農作物には抗生物質耐性遺伝子が入っているものがあると聞きましたが、人体に影響はないのですか。
Q25. 害虫抵抗性の遺伝子組換え食品には、害虫を殺す蛋白質が入っていると聞きましたが、人が食べても問題はないのですか。
Q26. 家畜が遺伝子組換え飼料を食べ、その肉を人間が食べたとき、どのような影響があるのですか。
Q27. 遺伝子組換え食品を食べると、その遺伝子や遺伝子産物であるタンパク質が体内で働くことはないのですか。
Q28. 遺伝子組換えトウモロコシ・大豆そのものではなく、コーンフレークや油などの加工食品の安全性はどのように確認されているのですか。
Q29. 遺伝子組換え技術でつくったキモシンを用いたチーズは、遺伝子組換え作物と同じように申請され認可された製品なのですか。またすでに市場に出回っているのですか。

環境への影響について
Q30. 遺伝子組換え農作物が組み換えてない農作物と自然交配して、組み換えられた遺伝子が周囲の生物に広がっていくことはないのですか。
Q31. 遺伝子組換え農作物の環境に対する影響は、どのように確かめられているのですか。
Q32. 除草剤の影響を受けない農作物が雑草化したり、他の雑草と交雑すると、除草剤耐性の雑草ができることはありませんか。
Q33. 害虫耐性の植物の利用により殺虫剤耐性を持つ害虫が発生することはありませんか。
Q34. 害虫耐性の植物により昆虫がいなくなり、生態系に異変をもたらしませんか。
Q35. 除草剤耐性作物によって農薬使用量が増えることはないですか。
Q36. 遺伝子組換え農作物から採った種をまいたらどうなるのですか。
Q37. 遺伝子組換え技術により、環境に対して予期せぬ影響が現れることはないのですか。

遺伝子組換えのメリット・デメリットについて
Q38. 遺伝子組換え技術を使うと消費者にどんなメリットがあるのですか。
Q39. 遺伝子組換え技術を使うと農家にどんなメリットがあるのですか。
Q40. 遺伝子組換え技術を使った農作物は食糧の生産と供給にどんなメリットがあるのですか。
Q41. 遺伝子組換え技術を農林水産業や食品産業で使うとどんなメリットがあるのですか。
Q42. 遺伝子組換え農作物は栽培コストが安くなるといわれていますが、その分、農作物の価格は安くなるのですか。

遺伝子組換え技術の規制状況について
Q43. 遺伝子組換え技術の利用に関して、日本ではどのような指針(ガイドライン)があるのでしょうか。
Q44. 遺伝子組換え技術の利用に関して、諸外国、国際機関ではどのような規制があるのでしょうか。

遺伝子組換え食品の表示について
Q45. 2001年4月からJAS法で表示義務が課されている食品は何ですか。
Q46. 表示方法の区分はどのようになっているのですか。
Q47. しょうゆや食用油などではDNA が検出されないのはなぜですか。
Q48. 「使用」、もしくは「不分別」と表示された食品は安全性に問題があるのですか。
Q49. ビールなどの酒類にも遺伝子組換えコーンが使われていると聞いたことがありますが、農水省の品目リストではどれに該当するのですか。
Q50. 遺伝子組換えトマトが、リストには入っていないのは何故ですか。
Q51. 遺伝子組換え飼料を用いた食肉、乳製品などは、表示の対象となるのでしょうか。
Q52. 組み換えられた遺伝子や遺伝子産物を検出する技術は確立されているのでしょうか。
Q53. 遺伝子組換え農作物はほとんどが輸入品と聞きますが、非組換え農作物の分別輸入や未承認の遺伝子組換え農作物の侵入を確認・規制する制度はあるのですか。
Q54. 非組換え体、組換え体の分別はどのように行われているのでしょうか。IPハンドリングとはどのようなものなのでしょうか。
Q55. 遺伝子組換え原料の混入率が何%以上で表示が義務付けられるのですか。
Q56. 表示が正しいかどうかをチェックする組織、機関はあるのですか。
Q57. 表示義務を怠った場合の罰則はどうなっているのですか。
Q58. 遺伝子組換え食品の義務表示によって、非組換え食品の価格が上がることはありませんか。

食糧問題について
Q59. 日本は食糧の完全自給を達成することは難しいのですか。
Q60. 遺伝子組換え食品は21 世紀の食糧危機を救えるのですか。
Q61. 種子と除草剤をセットで売ることで、一部の大企業が農家を支配することになりませんか。

クローン技術について
Q62. 「クローン技術」とは何ですか。また、どのようなことに役立つのですか。
Q63. クローン牛は、どのように作られるのですか。
Q64. クローン牛の研究は、どこで行われているのですか。
Q65. クローン牛の食肉及び牛乳が出荷されたのは、いつからですか。
Q66. クローン牛の食品としての安全性に問題はないのですか。
Q67. クローン牛は、死産等の率が高く、また、生まれた牛は虚弱で特別な飼料や医薬品等を使用した飼育を行っているというのは本当ですか。
Q68. 農家がクローン技術により同じ遺伝子しか持たないクローン牛群を飼うのは、ひとつの病気に多くの牛が感染したときに、一般の牛を飼うより被害が大きくなることはありませんか。
Q69. 試験場からクローン牛が、食肉として出荷されることには、問題はないのですか。
Q70. 海外におけるクローン家畜の生産および利用の状況はどうなっているのですか。
Q71. クローン牛の肉には、消費者側が買う、買わないの選択をするために表示をする必要があるのではないですか。
Q72. クローン技術に対して倫理上の問題はないのですか。

環境問題などバイオテクノロジーの応用分野について
Q73. バイオレメディエーションとは何ですか。具体的にどのような例があるのでしょうか。
Q74. バイオレメディエーションのメリット、デメリットは何ですか。
Q75. 生分解性プラスチックとはどのようなものなのでしょうか。
Q76. 他にどのような技術が環境問題に適用できるのでしょうか。
Q77. 環境問題以外にエネルギー・資源問題にもバイオテクノロジーが役立つと聞いたことがありますが、具体的にはどんな技術なのでしょうか。
Q78. 医薬品や化学品の製造にもバイオテクノロジーが使われているそうですが、どのようなものがつくられているのですか。
Q79. これ以外にバイオテクノロジーは今後、どのような分野に応用されていく可能性があるのでしょうか。

ヒトの遺伝子解読、ゲノム解析について
Q80. ヒトゲノム計画とは何ですか。
Q81. ヒトゲノム解析とは何で、解析の結果、どのようなことができるようになるのですか。
Q82. 人のゲノム解析はどのくらい進んでいるのですか。
Q83. オーダーメード(テーラーメード)医療とは何で、どんなメリットがあるのですか。
Q84. 個人の遺伝子を解読することにより、性格、能力、寿命などその人の一生を予測できるようになるのですか。
Q85. 個人の遺伝情報が解読されることはプライバシーの侵害につながるのではないですか。また、そのような遺伝情報が勝手に利用されないような対策はありますか。
Q86. 個人の遺伝情報の解読により、就職にあたっての差別、生命保険への加入拒否などの問題は生じませんか。
Q87. 人の遺伝情報は人類共通の資源だと思いますが、ゲノム解析の結果を利用して民間企業が特許を取得したりするのは問題がありませんか。

遺伝子治療について
Q88. 遺伝子治療とはどんな技術でどんな効果があるのですか。
Q89. 遺伝子治療はどのような病気に対して行われるのですか。また、これまでに行われた例はありますか。
Q90. 最近、海外で遺伝子治療による死者が出たという新聞記事を見ましたが、遺伝子治療の副作用など安全性の問題はないのですか。
Q91. 遺伝子を改変することで次世代以降への影響はないのですか。
Q92. 遺伝子治療について何かルールがあるのですか。

出生前診断、生殖工学について
Q93. 出生前診断とはどんな診断ですか。
Q94. どのような病気がわかるのですか。
出生前診断では誤った診断が下されることはないのですか。
Q95. デザイナーズ・チャイルドとは何ですか。バイオテクロノジーの進歩により、生まれてくる子供の遺伝子を自由に改変できるようになるのでしょうか。
Q96. バイオテクロノジーの生殖医療への応用について規制はあるのですか。

もっと知りたい方へ
Q97. 遺伝子組換え技術の利用に関する詳しい情報はどこで入手できますか。
Q98. 個々の遺伝子組換え作物についての情報はどこで入手できますか。
Q99. 食品の安全性評価に用いた資料等は公開されているのですか。
Q100. バイオテクノロジーについての情報を提供する一般向きの本やホームページはありますか。

  用語集

 
Q30. 遺伝子組換え農作物が組み換えていない農作物と自然交配して、組換えられた遺伝子が周囲の生物に広がっていくことはないのですか。
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Answer
 遺伝子組換え農作物と組み換えていない農作物、特に遺伝子組換え農作物と近縁の農作物との交配は当然起こります。組換えられた遺伝子が広がるには次のような条件が必要なので、組換えられた遺伝子を交配により持った植物が、自然界で広がっていくかどうかは、また別の問題です。
  1. 遺伝子組換え農作物の周囲にその作物と近縁で交配が起こるような植物が存在すること。
  2. 自然交配で生じた雑種が自然界でさらに広がっていくこと。
 2.の条件が必要なのは、自然界では、その環境に適応し、有利なものだけが生き残る淘汰が起こると考えられるからです。例えば、除草剤耐性の遺伝子が組換えていない農作物に入ったとします。しかし、たとえ除草剤耐性遺伝子を持っていたとしても、その環境で除草剤が 用いられていなければ、除草剤耐性が有利な要素ではなくなります。このような場合には、除草剤耐性遺伝子の割合は減っていくと予想されます。
 これまで遺伝子組換え農作物が栽培される以前にも、除草剤を用いていたために、天然に生じた突然変異によって除草剤への耐性遺伝子を持っていた農作物は存在していましたが、 除草剤耐性の遺伝子が周囲に拡散していったという例はありません。

  しかし、自然交配による組換え遺伝子の拡散の可能性に注意することは重要です。そのような事態を避けるためにも、遺伝子組換え農作物の栽培管理をしっかりと行い追跡調査を続ける必要があると考えられています。

Q31. 遺伝子組換え農作物の環境に対する影響は、どのように確かめられているのですか。
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Answer
 環境に対する影響については、農林水産省の「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」に基づき安全性が確認されます。農作物の開発者は、利用する農作物や遺伝子の性質を明らかにし、遺伝子組換えによって作られた農作物について、隔離圃場(フェンスで区分された圃場)において試験的な栽培を行い、花粉の飛散性や交雑など他の生物に及ぼす影響を含めて環境への影響を調べます。評価項目は作物の性質を考慮して決定されますが、代表的な項目は次の通りです。

○評価項目の例
  • 遺伝子組換え農作物の生育状況(非組換え農作物と差があるかどうか)
  • 繁殖に係わる項目:交雑率、花粉の寿命、花粉の飛散距離、花粉の受精能力等
  • 有毒物質の生産性 ・土壌微生物相への影響
  • 導入された遺伝子の存在様式と遺伝様式 等
 その結果が農林水産省に提出され、審査の結果、環境に対する安全性が確認されたものが、これまでの農作物と 同じように一般の圃場でも栽培又は輸入できる仕組みとなっています。

我が国における遺伝子組換え農作物の環境に対する安全性の確認状況
(一般の圃場での栽培又は輸入が可能となっているもの)
農作物 開発国 確認した年 農作物 開発国 確認した年
ウィルス病に強いトマト 日本 1992 除草剤の影響を受けないいトウモロコシ(2 種類) 米国 1997
ウィルス病に強いイネ(日本晴) 日本 1994 害虫に強いトウモロコシ 米国 1997
ウィルス病に強いイネ(キヌヒカリ) 日本 1994 除草剤の影響を受けないワタ(2 種類) 米国 1997
ウィルス病に強いペチュニア 日本 1994 低タンパク質のイネ 日本 1998
アレルギー原因物質の含有量が少ない低アレルゲンイネ(キヌヒカリ) 日本 1995 除草剤の影響を受けないナタネ(2 種類) カナダ 1998
日持ちの良いトマト 米国、日本 1996 色変わりカーネーション オーストラリア,日本 1998
ペクチンを多く含むトマト 米国、日本 1996 除草剤の影響を受けないトウモロコシ 米国 1998
除草剤の影響を受けない大豆 米国 1996 害虫に強く、除草剤の影響を受けないワタ 米国 1998
除草剤の影響を受けないナタネ(3 種類) カナダ 1996 色変わりトレニア 日本 1998
ウィルス病に強いメロン 日本 1996 害虫に強いアズキ 日本 1999
ウィルス病に強いトマト 日本 1996 灰食カビ病に強いキュウリ 日本 1999
日持ちの良いカーネーション オーストラリア、日本 1996 除草剤の影響を受けない大豆 米国 1999
害虫に強いトウモロコシ(3 種類) 米国 1996 高オレイン酸大豆 米国 1999
除草剤の影響を受けないナタネ(5 種類) カナダ 1997 除草剤の影響を受けないトウモロコシ 米国 1999
ウィルス病に強いトマト 日本 1997 除草剤の影響を受けず、 害虫に強いトウモロコシ(2 種類) 米国 1999
害虫に強いワタ 米国 1997 色変わりカーネーション オーストラリア,日本 1999
色変わりカーネーション オーストラリア、日本 1997 日持ちの良いカーネーション オーストラリア,日本 1999
ウィルス病に強いイネ(日本晴) 日本 1997 害虫に強いワタ 米国 1999
除草剤の影響を受けず、害虫に強い トウモロコシ(2 種類) 米国 1997



参考資料:組換え農作物早わかりQ&A (農林水産省農林水産技術会議事務局)

Q32. 除草剤の影響を受けない農作物が雑草化したり、他の雑草と交雑すると、除草剤耐性の雑草ができることはありませんか。
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Answer
 現在認められた遺伝子組換え農作物は農林水産省の指針(ガイドライン)に基づき確認され ており、その可能性はありません。
 遺伝子組換え農作物については、隔離圃場で花粉の飛散性・使う農作物や遺伝子の性質・近縁種との交雑性・栽培する環境・利用する目的等について評価を行っています。その結果、 環境へのマイナスの影響がないことを確認した上で栽培が認められます。また、現在栽培されている作物は長年の改良の結果、雑草として生き残る能力はほとんど失われているので、栽培環境下でしか生息できないと考えられます。万が一雑草化しても他の種類の除草剤で枯らせることができます。具体的に示すと次のとおりです。
(1)大豆
自家受粉する植物なので、交雑可能な近縁種のツルマメが周辺にあっても、ヒトの手による強制的な受粉を行わない 限りは交雑して種をつけないことが実験で確認されています。
(2)トウモロコシ
風によって花粉が運ばれて受粉する植物なので、周辺にトウモロコシや交雑可能な近縁種があれば、交雑が起きま す。しかし、トウモロコシ栽培はF 1 種(→Q36 )であり、毎年栽培するごとに種子を更新する必要があるため農家が採種 して翌年の種として使われることはありません。また、交雑可能な野生植物は日本には存在しません。 トウモロコシの野生種はメキシコ、中央アメリカ産のテオシントと呼ばれる植物と考えられています。この植物は現在自 生地が急速に減少しています。したがってテオシントの自生地で遺伝子組換えトウモロコシを栽培する場合には当然交 雑に対する配慮が必要と考えられます。遺伝子組換えトウモロコシが大規模に栽培されている米国にはテオシントは自 生していません。
(3)ナタネ
虫によって花粉が運ばれて受粉する植物なので、近縁種のカラシナ、アブラナがあれば、交雑することがあります。しかし、野外試験から花粉が飛ぶ範囲は数m と狭いことが分かっており、また交雑により種子ができることもほとんどないため、自然環境下では安定的に生存することが難しいと考えられます。さらに、ナタネはこれまでに我が国に種子の形態で30年近く輸入されていますが、これが輸送の途中でこぼれ落ちるなどして雑草化したという報告はありません。
(4)ワタ
自家受粉する植物なので、人の手による強制的な受粉を行わない限りは自然交雑により種をつけることはほとんどないと考えられています。また、交雑可能な植物は日本には存在しません。米国などではワタと交雑する近縁種が存在するので、そのような土地で栽培する場合は、交雑に対する配慮が必要になると考えられます。

参考資料:
組換え農作物早わかりQ&A(農林水産省農林水産技術会議事務局)
遺伝子組換え食品Q&A(日本国際生命科学協会)

Q33. 殺虫剤耐性を持つ害虫が 発生することはありませんか。
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Answer
 害虫耐性遺伝子組換え植物には、害虫を殺すタンパク質(Bt タンパク質)というもhのを使っています。このタンパク質は、化学合成殺虫剤よりも耐性をもつ害虫が発生することはないと言われており、実際に発生した例も報告されていません。それでも、耐性を持つ害虫が発生する可能性は完全には否定できません。このタンパク質を利用した遺伝子組換え植物は、農家の人にとっては、今まで10 回以上まかなければならなかった殺虫剤散布が1,2回で済むので、省力化につながり、環境影響も大幅に少なくなります。
 そこで、この遺伝子組換え植物を長く使うことができるように、米国の環境保護庁が中心になり、殺虫剤耐性の害虫の発生を防ぐ対策が作物ごとに決められています。例えば、遺伝子組換え植物と組換えていない植物を一緒に栽培して耐性の害虫だけが増えないようにしたり、遺伝子組換え植物中の害虫を殺すタンパク質の量を増やしたり、害虫を殺すタンパク質を何種類か入れて、耐性害虫の発生を防いでいます。

(用語)
1.Bt タンパク質 Bt タンパク質は土壌中に生息するガやコガネムシの天敵微生物であるバチルス菌(学名Bacillus thuringiensis )が作るものです。Bt という名前はバチルス菌の学名の頭文字をとったものです。このタンパク質は昆虫の中でも特定の種にのみ作用して殺すという特異的なものであり、ヒトを含むほ乳類には害は全くありません。

Q34. 害虫耐性の植物により昆虫がいなくなり、生態系に異変をもたらしませんか。
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Answer
 害虫耐性の植物には、一般にBt タンパク質と呼ばれる殺虫タンパク質(害虫を殺すタンパク質)を作る遺伝子が組み込まれています。この殺虫タンパク質は、ガやコガネムシなどの特定の昆虫にのみ作用します。それ以外の昆虫に影響が及ぶことはありません。

  例えば、Bt トウモロコシの場合の害虫は、アワノメイガと呼ばれるガの一種です。トウモロコシ以外に住み付くものでは、他の菜類のアオムシ、コナガ、ヨトウムシ、リンゴのハマキムシ、サクラのアメリカシロヒトリ、茶のコカクモンハマキ、ツバキのチャドクガ等があります。しかし、自然界の昆虫は、基本的に自分が食べる植物の種類がはっきり決まっており、特定の植物以外は餌にしません。ですからリンゴのハマキムシがトウモロコシを食べに行くということはありません。つまり、Bt トウモロコシの場合、基本的に駆除されるのはアワノメイガのみです。アワノメイガは、茎の内部にすみつくため、これまで大変防除が困難な害虫でした。
 また、Bt タンパク質は組換え体以外にも、生物農薬として、70年以上前から世界中で利用されています。生物農薬は、従来の化学農薬と違って生態系を傷めない農薬としての利用が定着しています。したがって、生物農薬と同じBt タンパク質を含む組換え体は、むしろ化学農薬による生態系への影響を防ぐ技術であると考えられます。

(用語)
1.Bt タンパク質 Bt タンパク質は土壌中に生息するガやコガネムシの天敵微生物であるバチルス菌(学名Bacillus thuringiensis )が作るものです。Bt という名前はバチルス菌の学名の頭文字をとったものです。このタンパク質は昆虫の中でも特定の種にのみ作用して殺すという特異的なものであり、ヒトを含むほ乳類には害は全くありません。
2.生物農薬 生物農薬は化学的に合成された化学農薬とは異なり、自然界にもともと存在する微生物などを農薬として用いるものです。上のバチルス菌のように、自然界には特定の生物を殺す作用をもった細菌や微生物がたくさん存在します。殺す側と殺される側の組み合わせは、非常に限られているので、この関係を利用すれば、他の生物には影響を与えず、特定の害虫だけを殺せる農薬ができます。 したがって一般に生物農薬は従来の農薬よりも環境への影響が少ない農薬といえます。実際は、バチルス菌を生きたまま、あるいは死んだ状態で製剤化し、散布します。

Q35. 除草剤耐性作物によって農薬使用量が増えることはないですか。
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Answer
 これまで、除草剤耐性植物が多く栽培されているアメリカなどで、除草剤の使用量が増加したという報告はなく、むしろ低下している傾向にあります。アメリカでは、除草剤の影響を受けない大豆の栽培により、除草剤の使用量が1エーカー当たり20%程度減少したとの報告がなされています。

  現在、開発されている除草剤耐性植物の多くは、除草剤グリホサートやグルホシネートの耐性遺伝子を導入した植物です。これらの除草剤は、植物の生育に必要なアミノ酸(→Q1、用語解説)の合成経路を遮断して、除草作用を示すものです。また、この除草剤の主成分は、土壌に接触すると水と炭酸ガスに分解されて、土壌に残留しにくいことが明らかになっています。 これらの特徴から、有機塩素系を中心とする化学農薬に比べて、除草剤耐性の雑草が生じにくいものです。
 薬量を増やせば効果が高まる従来の化学農薬と違って、薬量を増やしても除草効果は変わりません。したがって、一定量の薬をまけば十分で、必要以上に薬量を増やすことはありません。除草剤耐性雑草の除草を行うには、別の種類の除草剤 を利用することになります。

参考資料:
大澤勝次「遺伝子組換え作物への不安と疑問」
「組換え農作物早わかりQ&A」(農林水産省農林水産技術会議事務局)

Q36. 遺伝子組換え農作物から採った種をまいたらどうなるのですか。
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Answer
 遺伝子組換え農作物から採った種子をまけば、親の代と同じように作物が育ちます。農作物に導入された遺伝子は基本的には遺伝すると考えられますが、遺伝 しない場合もありますし、代を重ねていくことで脱落する場合もあります。したがって、遺伝子組換え農作物から採った種をまいた場合も、非組換え農作物を栽培する場合と同様にきちんと管理して栽培していくことが重要です。 

  遺伝子組換え農作物は、企業が多額の研究費を投じて開発したものです。そのため、その権利が手厚く保護されており、また厳重に管理されています。そのため、容易に自家採種(農家が栽培した農作物から種子をとって再び翌年栽培すること)が行えないような仕組みが作られています。また、多くの作物でF1化が進め られていますから、こっそり自家採種を行ったとしても、次世代では、目的の優良 な形質を発現しない、言い換えれば商品価値のない作物ができてしまいます。

(用語)
1.F1 一代雑種、ハイブリッド種ともいい、遺伝的性質の異なる個体同士を組み合わせることにより、その雑種が最も有効な性質をもつよう にしたものです。F1 種からさらに種子をとって育てても、様々な性質をもった個体が生じ、目的の性質をもたない農作物もできてしまう ので、経済的な利点がなくなります。したがって農家は毎年栽培するごとにF1種子を購入して品質を維持します。

Q37. 遺伝子組換え技術により、環境に対して予期せぬ影響が現れることはないのですか。
次の質問へ
Answer
 環境への長期的な影響の一つとして、遺伝子組換え農作物の栽培が広がること により、生物多様性が失われる可能性が指摘されています。具体的には、組換え体が近縁種と交雑することによって、人為的に導入された遺伝子が野生集団に広 がったり(遺伝子汚染と呼ばれることもあります)、組換え体が広がるにしたがって、各地の野生種が失われる可能性が考えられます。しかし、これは、通常の育種な どで改良された作物を含むすべての作物について言えることです。また、実際には、遺伝子組換え農作物の環境影響評価を実施して、問題のない作物のみが日本では栽培されています。
 このような事態が起こる可能性は非常に低いと考えられますが、念のため、組換え体の栽培について、管理とモニタリング(追跡調査)をしっかり行っていくこと が重要です。そして、組換え体に関する知識と経験を積み重ねていくことが重要であると考えられます。
 上で述べた以外の環境影響の懸念についても、管理とモニタリング(追跡調査) を行うことで、1つ1つ検証を行っていくことが重要です。 現在、組換え体の環境への影響についての意識が高まり、農林水産省を中心に環境保全のために、より良い栽培安全性の評価手法を検討していくこととされています。


更新日: 2006年10月25日


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