2016 VOL.74 NO.4

更新日:2018年12月20日

巻頭言

◆日本はどこで勝負するのか?(三輪清志)

解説

◆微生物燃料電池の効率化に向けた細胞外電子移動の速度論研究(岡本章玄・徳納吉秀・齋藤淳貴)
Kinetic studies on extracellular electron transport for the improvement of microbial fuel cells

要旨
微生物をアノード電極触媒として用いる創電型廃水処理技術が近年国内外で盛んに研究・開発されている。廃水処理を行いながら電気エネルギーが回収され、従来の活性汚泥法で曝気に消費される膨大な電力が不要となるメリットがある。基礎研究分野では発電菌に特徴的な膜タンパク質に関する酵素学的理解が進む一方で、効率化に不可欠な微生物発電反応の速度論に関してはその複雑性から研究の方法論すら確立しているとは言えない。本稿では、モデル発電菌を精密電気化学分析することで発電プロセスの律速過程に迫った筆者らの一連の成果を概説する。

キーワード
鉄還元細菌、微生物電極触媒、微生物燃料電池、廃水処理

◆微生物燃料電池を利用した畜産廃棄物処理と発電(井上謙吾)
Electricity generation from livestock wastes using microbial fuel cells

要旨
微生物燃料電池は、微生物を用いて有機物の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。本稿では、牛糞を燃料とした微生物燃料電池の研究例について解説する。

キーワード
微生物燃料電池、畜産廃棄物、発電、バイオマス、廃棄物処理

◆メタボロミクス技術を用いた清酒の成分プロファイリングと品質評価(三村奈津紀・磯谷敦子・岩下和裕・福崎英一郎)
Metabolome analysis for component profiling and quality evaluation of Sake

要旨
生体内の代謝総体を解析する「メタボロミクス」が対象とする低分子成分の多くは、食品の香気/呈味物質であり、近年食品分野において当該技術が応用されるようになってきた。本稿では、日本古来の醸造酒、清酒の品質評価に用いた例を解説する。

キーワード
清酒、香味特性、メタボロミクス、ガスクロマトグラフィー質量分析、OPLS回帰分析

◆真核生物由来の新規ピロロキノリンキノン依存性ピラノース脱水素酵素の機能解析(武田康太・中村暢文)
Characterization of a novel eukaryotic pyrroloquinoline quinone-dependent pyranose dehydrogenase

要旨
真核生物由来で初となるピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とする脱水素酵素を担子菌から発見した。新規なPQQ ドメインとシトクロムドメイン、セルロース結合性ドメインから構成される本酵素の機能について紹介する。

キーワード
キノプロテイン、ヘム、糖関連酵素、担子菌、バイオセンサー

◆アーキア由来Rubisco の特異な代謝機能(跡見晴幸)
The unique metabolic function of Rubiscos from Archaea

要旨
多くのアーキアに存在するtype Ⅲ Rubisco を中心に、Calvin cycle の鍵酵素として知られるRubisco と相同性を示すRubisco protein familyに属するタンパク質の多様な代謝機能を紹介する。

キーワード
Rubisco、Rubisco-like protein、carboxylase、pentose bisphosphate pathway、archaea

トピックス

◆ヨーグルト発酵を担う乳酸菌:共生の謎を解く(佐々木泰子)
Protocooperation between two lactic acid bacteria in yogurt fermentations

キーワード
Yogurt、proto-cooperation、L. bulgaricusS. thermophilus、NADH oxidase

◆乳酸菌バクテリオシン研究の新展開-多様な構造と特異な活性-(善藤威史・高城博也・園元謙二)
Advances in studies on bacteriocins from lactic acid bacteria :Diverse structures and unique activity

キーワード
バクテリオシン、抗菌ペプチド、乳酸菌

◆エピジェネティック制御の改変によって植物の耐塩性を高める(佐古香織・関 原明)
Enhancement of salinity stress tolerance in plant through altered epigenetic regulation

キーワード
植物、高塩ストレス、ヒストン脱アセチル化酵素

◆根寄生雑草防除に向けた自殺発芽誘導剤の開発と実証試験(鮫島啓彰・滝川浩郷・杉本幸裕)
Development of germination inducers for controlling root parasitic weeds by the suicidal germination approach

キーワード
根寄生雑草、ストライガ、発芽刺激物質、合成類縁体

◆環境中RNA ウイルス検出のための網羅的ゲノム解析手法の開発(浦山俊一・布浦拓郎)
Development of a comprehensive genome analysis method to detect environmental RNA viruses

キーワード
細胞シート、藻類・動物細胞共培養、リサイクル、立体組織

◆酵素-化学カップリング連続反応を用いた新規ペプチド合成(安部智子・橋本義輝・小林達彦)
Novel peptide synthesis by an enzymatic and chemical-coupling reaction

キーワード
ペプチド合成、アミノ酸、adenylate-forming enzyme

◆脳ミトコンドリア呼吸鎖異常症のゲノム解析(神田将和・岡﨑康司)
Genomic analysis of mitochondrial respiratory chain complex deficiencies

キーワード
ミトコンドリア、希少難病、疾患遺伝学、高速シーケンサー

◆iPS細胞を用いた進行性骨化性線維異形成症の病態解明(松本佳久・日野恭介・池谷 真・戸口田淳也)
Pathology analysis of fibrodysplasia ossificans progressiva utilizing iPS cells

キーワード
iPS cells、fibrodysplasia ossificans progressive、gene correction、Hetrotopic ossification

◆microRNA-27b が乳がんのがん幹細胞形質を抑制するしくみ(高橋陵宇・廣中 愛・落谷孝広)
Identification of microRNA-27b as a master regulator for breast cancer stem cell generation

キーワード
microRNA、乳がん、がん幹細胞

◆病原真菌Candida glabrataが有する特異な小胞体ストレス応答機構(宮崎泰可)
Unique ER stress response in the pathogenic fungus Candida glabrata

キーワード
Candida glabrata、小胞体ストレス、unfolded protein response、regulated Ire1-dependent decay、カルシニューリン

学会見聞記

◆日本農芸化学会大会(青木 航・村上一馬・安部真人・小川拓哉・大日向耕作・桝田哲哉・岸野重信・奥 公秀・木村泰久・稲葉尚子)

バイオの窓

◆微生物の可能性は有限? 無限?(木谷 茂)

シリーズ

バイオが貢献して拓く未来社会⑩
◆進化を続けるバイオ産業の社会貢献ビジョン〜新たな基幹産業の創出と地球規模の課題解決に向けて〜《前編》(坂元雄二)

産業と行政

1,4-ジオキサン汚染地下水の生物浄化技術の開発(池 道彦)

食品の用途発明に関する審査基準改訂について(石原徹弥)

国際動向

再生医療の産業化動向と戦略分析(2)(堀 友繁)

JBAニュース

◆発酵と代謝研究会講演会 難培養性微生物の産業利用への可能性(竹川 薫)

◆台湾科技部訪日団 来訪

◆リトアニア ライフサイエンスセミナー報告

書評

◆バイオマテリアル その基礎と先端研究への展開(田畑和彦)

◆光合成細菌 採る・増やす・とことん使う 農業、医療、健康から除染まで(梶浦貴之)

バックナンバーへ戻る