2016 VOL.74 NO.5

更新日:2018年12月21日

巻頭言

◆百年目を迎える日本農芸化学会(植田和光)

目で見るバイオ

◆植物の内部を切片化せずに観察(長谷川淳子・松永幸大)

キーワード
深部イメージング、植物組織、細胞形態、共焦点(コンフォーカル)顕微鏡

◆細菌の持つ接着ナノファイバータンパク質AtaA(堀 克敏)

キーワード
バクテリオナノファイバー、微生物固定化、接着タンパク質、オートトランスポーター、グラム陰性細菌

総説

◆天然物生合成酵素によるキャリアータンパク質の認識機構(宮永顕正・工藤史貴・江口 正)
Recognition mechanism for the carrier protein by natural product biosynthetic enzymes

要旨
非リボソームペプチドやポリケチドの生合成においては、アミノアシル基やアシル基の運搬に分子量1 万程度のキャリアータンパク質が用いられている。最近、設計した合成プローブやクロスリンク剤を用いることで高次のタンパク質間相互作用解析が可能となり、生合成酵素によるキャリアータンパク質の認識機構が明らかになってきた。本稿では、これらの研究の進展について紹介する。

キーワード
非リボソームペプチド合成酵素、ポリケチド合成酵素、キャリアータンパク質、タンパク質間相互作用、結晶構造

◆新たな創薬標的の発見を目指した脂質代謝研究の最前線(村上 誠)
Frontier of lipid metabolism research toward novel drug development

要旨
脂質代謝に関わる酵素(ホスホリパーゼA2)群の遺伝子改変マウスを網羅的に導入し、これに脂質メタボローム解析を展開することによって、代謝、免疫、皮膚疾患等の制御に関わる新しい脂質経路を同定した。本稿では、創薬展開への可能性も踏まえて、筆者らの最近の研究成果を中心に概説する。

キーワード
ホスホリパーゼA2、脂質メディエーター、リン脂質、脂肪酸、リピドミクス

◆微小気泡を用いた新たな医療/診断システム―超音波セラノスティクス(小田雄介・鈴木 亮・丸山一雄)
Ultrasound theranostics using nano/microbubbles

要旨
セラノスティクス(Theranostics)は、診断(Diagnostics)と治療(Therapeutics)を一体的に遂行する新しい医療システムである。超音波は小型の診断装置・治療装置が開発されており、侵襲性を伴わず繰り返し利用可能であるためセラノスティクス構築に有望な物理エネルギーとして注目されている。微小気泡は超音波の照射条件に応じて様々な振る舞いを見せ、診断用超音波では血流の観察や造影による診断ができ、治療用超音波照射では、ソノポレーションを駆動力にした遺伝子・薬物デリバリーが可能である。現在、脳腫瘍や膵臓がん治療の臨床研究が進められており、超音波セラノスティクスが現実のものになりつつある。

キーワード
超音波、セラノスティクス、微小気泡、マイクロバブル、BBB オープニング

解説

◆焼酎製造に用いられる白麹菌のゲノム解析と育種基盤の開発(二神泰基・後藤正利)
Genomics and genetic engineering systems in white koji mold used for shochu brewing

要旨
白麹菌は焼酎製造に用いられる微生物である。本稿では白麹菌の研究開発基盤として、ゲノム情報、麹造りにおけるクエン酸の生産に関わる遺伝子発現、および遺伝子組換え系について解説する。

キーワード
焼酎、白麹菌、クエン酸、ゲノム、マイクロアレイ

トピックス

◆短時間で植物組織の内部を観察する手法TOMEI(長谷川淳子・松永幸大)
Rapid transparency technique for plant organs, TOMEI

キーワード
深部イメージング、植物組織、透明化、共焦点顕微鏡

◆イネいもち病抵抗性NLR タンパク質による病原菌エフェクター認識(齋藤宏昌)
Pathogen effector recognition by rice blast resistance NLR protein

キーワード
イネいもち病、NLR、エフェクター、HMA、結晶構造

◆セルラーゼの老化誘導発現による稲わらの糖化性の向上(伊藤幸博)
Enhancement of saccharification from rice straws by senescence-specific expression of cellulase

キーワード
バイオリファイナリー、セルラーゼ、老化期特異的発現、稲わら

◆分泌酵母における分泌脂肪酸を介した窒素源カタボライト制御(八代田陽子)
Novel secreted fatty acids regulate nitrogen catabolite repression in fission yeast

キーワード
分裂酵母、窒素源カタボライト抑制、窒素代謝、細胞間コミュニケーション

◆細菌接着タンパク質AtaA分子の特性と応用(堀 克敏)
Characterization and application of adhesive bacteria nanofiber protein AtaA

キーワード
微生物固定化、接着タンパク質、オートトランスポーター、グラム陰性細菌

◆細胞破裂を介した細菌のバイオフィルムとベシクル形成(豊福雅典・野村暢彦)
Biogenesis of bacterial membrane vesicles and biofilm via explosive cell lysis

キーワード
メンブランベシクル、バイオフィルム、細胞死、不均一性、ファージ

◆敗血症起炎菌の新たな迅速同定法(仁井見英樹)
A novel method for rapid identification of pathogenic bacteria in sepsis

キーワード
敗血症、迅速検査、遺伝子検査、起炎菌同定

◆超並列シーケンサを用いて大規模構造変異を検出する新規アルゴリズムCOSMOS(瀬々 潤)
COSMOS: An algorithm for chromosomal structural variation detection with next generation sequencer

キーワード
構造変異、NGS、がん

◆タンパク質の翻訳伸長には個性(緩急リズム)がある(伊藤維昭・茶谷悠平・千葉志信・田口英樹)
Elongation-speed modulation during translation of individual proteins

キーワード
翻訳速度、タンパク質生産、大腸菌

バイオの窓

◆超遠心分析機モデルE(内山 進)

シリーズ

バイオが貢献して拓く未来社会⑩
◆進化を続けるバイオ産業の社会貢献ビジョン〜新たな基幹産業の創出と地球規模の課題解決に向けて〜《後編》(坂元雄二)

バイオビジネスシリーズ⑤
◆サッポログループの研究開発〜顧客を知り、新しい価値を創造する〜(渡 淳二)

産業と行政

◆アルゼンチンとインドネシアにおける生物多様性条約(CBD)に対応した園芸品種の開発(鴨川知弘)

国際動向

◆「合成生物学」は生物多様性を減少させるのか?(白江英之)

◆2016 BIO International Convention参加報告(塚本芳昭)

JBAニュース

国際連携関連セミナー
◆フランスのバイオメディカル・イノベーションと研究開発パートナーシップ

◆2016 年度 三賞受賞者の紹介

書評

◆創薬研究のための 薬事と知財の連結戦略ガイド(小寺 淳)

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