2017 VOL.75 NO.2

更新日:2017年2月 1日

巻頭言

◆醸造研究の魅力(橋本拓磨・國枝武和)

目で見るバイオ

◆X線からヒト培養細胞を守るクマムシタンパク質Dsup(橋本拓磨・國枝武和)

キーワード
クマムシ、放射線耐性、ゲノム、DNA 保護、活性酸素種

総説

◆立体構造に基づくCRISPR-Cas9 ゲノム編集ツールの開発(濡木 理)
Structure-based development of a CRISPR-Cas9 genome editing tool

要旨
バクテリアの獲得免疫機構に働くⅡ型CRISPR-Cas9 は、ガイド鎖RNA と協働し標的二本鎖DNAを切断することから、真核生物を含めたあらゆる生物のゲノム編集に用いられている。筆者らは、3 生物種のCas9 について、ガイドRNA、標的DNA の4 者複合体の結晶構造を1.7 ~ 2.5 Å の高分解能で解明し、ガイドRNA 依存的なDNA 切断機構やPAM 配列の認識機構を明らかにした。また、各生物種のCas9 は広い構造多様性を持ち、お互いに直交性を持って細胞で働けることを示した。さらに立体構造に基づいて、PAM 配列認識特異性を変えることに成功し、ゲノム編集ツールとしての適用範囲を拡張することに成功した。

キーワード
ゲノム編集、CRISPR-Cas9、PAM 配列、ゲノムワイドスクリーニング

解説

◆天然高分子「PHBH」発酵生産技術の開発とバイオプラスチックへの応用(佐藤俊輔・有川尚志)
Fermentative production of the natural polymer PHBH and its application to bioplastics

要旨
微生物がエネルギー貯蔵物質として細胞内に蓄積する天然高分子であるPHBH の生産プロセス開発を行っている。本稿では、高分子の共重合比や分子量を制御することで、プラスチック材料として応用する取り組みについて解説する。

キーワード
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、(R)-3-ヒドロキシヘキサン酸、β-ケトチオラーゼ、PHA 分解酵素、分子量制御

◆モリブデン補酵素生合成における予想外の酵素反応(横山健一)
Unexpected reaction of the molybdenum cofactor biosynthetic enzyme

要旨
モリブデン補酵素はほぼすべての生物種が有し、ヒトにおける欠損症は致死性の脳の発育障害を引き起こす。最近、その生合成機構に関して予想外の発見が大きく当該分野を進展させたので、その経緯をまとめて述べる。

キーワード
モリブデン補酵素、生合成、反応機構、結晶構造、ラジカル

トピックス

◆血液中の遊離DNA解析による膵臓がんのリキッドバイオプシー(高井英里奈)
Cell-free DNA-based liquid biopsy for diagnosis ofpancreatic cancer

キーワード
cfDNA、ctDNA、liquid biopsy、デジタルPCR、次世代シーケンシング

◆CRISPR/Cas9 ゲノム編集を応用したエピゲノム操作法の開発(森田純代・堀居拓郎・畑田出穂)
Editing the epigenomeusing the CRISPR/Cas9 technology

キーワード
CRISPR/Cas9、ゲノム編集、エピゲノム、TET1、DNA 脱メチル化

◆クマムシの極限環境耐性のためのゲノム戦略を読み解く(橋本拓磨・國枝武和)
Decoding the genomic strategy for extremotolerance in tardigrade

キーワード
クマムシ、ゲノム、放射線耐性、DNA 保護、活性酸素種

◆レクチンを用いたヒト間葉系幹細胞の品質評価(舘野浩章)
Quality evaluation of human mesenchymal stem cells using lectins

キーワード
糖鎖、レクチン、間葉系幹細胞、再生医療

◆果実様香気成分を高生産する新酵母の育種(高橋俊成)
Breeding of sake yeast with enhanced productivity of fruity flavor components

キーワード
清酒酵母、酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、清酒醸造、低精白米

◆放線菌Kribbella flavidaによる環状四糖の生成と代謝(田上貴祥)
Starch metabolism via a cyclic glucotetraose in Kribbella flavida

キーワード
ア放線菌、Kribbella flavida、デンプン代謝、オリゴ糖合成、糖質関連酵素

◆悪玉腸内細菌の増殖を抑えるIgA 抗体(新藏礼子・岡井晋作・臼井文人)
High-affinity monoclonal IgA suppressing intestinal non-beneficial bacterial growth

キーワード
抗体、IgA、腸内細菌

◆α-1,3-グルカンの試験管内酵素合成と高耐熱性バイオプラスチック化(木村 聡・岩田忠久)
In vitro enzymatic synthesis of α-1,3-glucan and application for thermostable bioplastic

キーワード
α-1,3-グルカン、グルカンスクラーゼ、バイオプラスチック、Streptococcus salivarius

30th Anniversary JBA

◆【1】JBA の30 年を振り返って(塚本芳昭)

バイオの窓

◆最強生物クマムシの御家騒動とオープンサイエンス(荒川和晴)

産業と行政

◆平成29 年度 各省バイオ関連予算案

日本学術会議市民公開シンポジウム 世界の食料の今そして未来報告(白石晃將・阪井康能)

国際動向

◆シリーズ:グローバル連携⑦ アイルランドの製薬産業(Derek Fitzgerald)

◆生物多様性条約第13回締約国会議および名古屋議定書第2回締約国会合~
遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)の観点から~
(井上 歩)

JBAニュース

◆平成29年 バイオ関連団体合同賀詞交歓会

◆内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
「次世代農林水産業創造技術」「次世代機能性農林水産物・食品の開発」公開シンポジウム ~夢の進展と社会実装

◆内バイオエンジニアリング研究会2016年度講演会「再生医療のエンジニアリング」(菅谷和夫)

次号予告


編集後記

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