2018 VOL.76 NO.3

更新日:2018年5月17日

巻頭言

◆バイオによる農林水産業のイノベーションの新展開(別所智博)

解説

◆分子細胞生物学研究から疾病発症予防に資する機能性食品成分探索(佐藤隆一郎)
A search for functional food factors that prevent the onset of diseases using molecular cell biological approaches

要旨
分子細胞生物学的手法を用い、生活習慣病の発症予防に資する機能性食品成分の探索を行った。 脂質・エネルギー代謝に重要な働きを持つヒト機能分子の発現、活性を制御し、代謝改善効果を有する食品成分について紹介する。

キーワード
生活習慣病、機能性食品成分、ルテオリン、キサントフモール、ノミリン

◆感冒薬に関連して発症するStevens-Johnson 症候群の遺伝素因と病態解明(上田真由美)
Genome-wide association study of cold medcine-related Stevens-Johnson syndrome

要旨
感冒薬は重症薬疹であるStevens-Johnson 症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)の原因薬剤となりうる。感冒薬によるSJS/TEN 発症には、HLA 型や遺伝子多型などの遺伝素因が大きく関与している。

キーワード
感冒薬、Stevens-Johnson syndrome、遺伝素因、遺伝子多型間相互作用、HLA

◆糸状菌における初期エンドソーム動態の生理的意義(樋口裕次郎)
Physiological roles of early endosome motility in filamentous fungi

要旨
植物病原性および有用性糸状菌を用いた細胞生物学的解析により、初期エンドソームが示す特徴的な動態の生理的意義が近年明らかになってきた。本稿では最新の知見を含めて紹介するとともに、応用研究への展開についても述べたい。

キーワード
初期エンドソーム、黄麴菌、黒穂菌、細胞内動態、有用物質生産

◆チロシンリン酸化によるジベレリン応答の新しい制御機構(根本圭一郎・澤崎達也)
Molecular mechanism underlying the gibberellin response regulated by tyrosine phosphorylation

要旨
ジベレリンは植物の発芽や発生、生育に関与する重要な植物ホルモンであり、その生理作用は農業生産においても広く利用されている。本稿では、筆者らが見いだした新規なジベレリン応答制御機構について紹介する。

キーワード
植物ホルモン・ジベレリン、チロシンリン酸化プロテインキナーゼ、ユビキチン化、コムギ無細胞翻訳系

トピックス

◆フラボノイドを判別する網羅的メタボローム解析技術(櫻井 望・秋元奈弓)
A comprehensive system for flavonoid annotation in metabolomics

キーワード
フラボノイド、液体クロマトグラフィー、質量分析、メタボロミクス、マススペクトル

◆変化する"ウイルス像" 生物と共栄するウイルス(浦山俊一・布浦拓郎)
Unveiling the symbiotic virosphere

キーワード
RNA ウイルス、共生、環境ウイルス

◆清酒の特徴香4-mercapto-4-methylpentan-2-one(4MMP)の発見(飯塚幸子)
Discovery of 4-mercapto-4-methylpentan-2-one (4MMP) as the characteristic aroma of sake

キーワード
4-mercapto-4-methylpentan-2-one、チオール、前駆体

◆匂い受容体巨大遺伝子クラスターを制御するゲノム領域の発見(岩田哲郎・廣田順二)
An extraordinary long-range cis-regulatory element for class I odorant receptor genes

キーワード
嗅覚受容体、遺伝子クラスター、遺伝子発現制御、長距離エンハンサー

◆ナノポアシーケンサーを活用した感染症細菌叢ゲノムの迅速解析(中川 草・今西 規)
Development of a genome-diagnostic system for bacterial infectious diseases using a nanopore-based sequencer

キーワード
細菌叢解析、感染症診断、次世代シーケンス

◆大気圧プラズマ処理によるイネの病害防除(高橋英樹・安藤杉尋・高島圭介・金子俊朗)
Suppression of rice seedling diseases by atmospheric plasma irradiation

キーワード
大気圧プラズマ、イネばか苗病、イネ細菌性苗病害、殺菌作用

◆終止コドンに依らず翻訳を途中終了させる酸性アミノ酸の連続配列(田口英樹・茶谷悠平・千葉志信・伊藤維昭)
Translation abortion induced by consecutive acidic amino acid sequences

キーワード
リボソーム、翻訳速度、タンパク質生産、大腸菌

学会見聞記

◆日本農芸化学会大会(前田理久・臼井健郎・石神 健・荒川孝俊・伊藤圭祐・石川大太郎・尾仲宏康・丸山潤一・山内祥生・中村英光)

シリーズ

日本バイオの技と粋(4)
◆海洋天然物ハリコンドリンB と抗がん剤エリブリン(上村大輔)

要旨
創薬の世界ではPPI(protein-protein interaction)に関係する中分子化合物が話題になっている。その理由は天然物のように官能基の広がりや複雑さを持つ、要求度の高い中分子化合物がまさに適合しているからであろう。本稿では創薬へと発展した海洋天然物と抗がん剤について述べる。

キーワード
クロイソカイメン、抗腫瘍物質ハリコンドリンB、乳がん治療薬、ハラヴェンⓇ

日本バイオの技と粋(5)
◆生理活性物質の作用機序解明の技と未来(吉田 稔)

要旨
生理活性物質が作用するしくみ(作用機序)の解明は、魅惑的な研究分野であると同時に創薬のボトルネックでもある。今まで個人技が重要だったこの研究分野は、今後、化学・生物・情報学などの総合科学として発展していく必要がある。

キーワード
化学遺伝学、酵母遺伝学、作用機序、標的分子、プロファイリング

◆日本バイオの技と粋(4)(5)に寄せて(穴澤秀治)

バイオの窓

◆医薬品業界の過去と未来-どのように新しい扉を開けていくのか(小寺 淳)

特集

第1回バイオインダストリー奨励賞受賞業績(2)

◆試験管内人工生合成系による擬天然物ペプチドの創製(後藤佑樹)
Development of pseudo-natural peptides by means of artificial in vitro biosynthesis systems

キーワード
擬天然物、試験管内人工生合成、生物活性ペプチド、翻訳後修飾

◆ブレインマシンインターフェイスによる脳機能の再建と修飾(栁澤琢史)
Reconstruction and modulation of brain function using Brain-Machine Interface

キーワード
BMI、ロボット、幻肢痛、脳可塑性、人工知能

産業と行政

◆日本の新たなバイオ戦略をめぐる国際動向(坂元雄二・藤島義之)

国際動向

◆AsiaTIDES:Oligonucleotide & Peptide Therapeutics 2018参加報告(渡邊正人)

JBAニュース

シンポジウム
◆「微細藻類を利用したバイオ燃料生産の研究開発動向」(福田裕章)

平成29 年度発酵と代謝研究会 講演会
◆「酵素利用・微生物代謝研究のこれからを考える」(大西康夫・五味恵子)

◆発酵と代謝研究会・第2 回勉強会(高木博史)

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