2019 VOL.77 NO.5

更新日:2019年9月19日

巻頭言

◆博士を大切に(吉田 稔)

総説

◆認知症の病態形成と進行機構(長谷川成人)

要旨
アルツハイマー病に代表される主要な変性性認知症の発症、進行を「プリオン」と同じ機序で説明する考え方が注目されている。老化などに伴って変質したタンパク質が、機能を失うだけでなく、正常型タンパク質を異常型に変換して増加する。細胞の中のタンパク質であるにも関わらず、細胞間を越えて別の細胞に伝播する。広がった脳領域が変性し、この連鎖によって病気が進行する。プリオン様伝播の機序解明は、異常タンパク質病変を伴う様々な神経疾患の発症、進行機序の解明だけでなく、認知症の診断、治療薬開発にとっても重要である。

解説

◆ポリエチレンテレフタレート(PET)分解酵素の特性とプラスチックリサイクルへの展望(河合富佐子・織田昌幸)

要旨
プラスチックごみが本年2019年にバーゼル条約の対象となり、日本でも対策が急がれる。PETは主要プラスチックの1つであり、リサイクルには分解酵素が期待される。耐熱性クチナーゼはPET分解に不可欠である。

◆軽くて丈夫なミノムシシルクの強靭さの秘密(吉岡太陽・亀田恒徳)

要旨
持続可能社会の構築に向け、強さを担える天然素材が求められており、「シルク」が候補として注目されている。本稿では、強さを担える新しいシルク「ミノムシの糸」を紹介し、その優れた性質と産業利用の可能性について解説する。

◆エゾムラサキツツジの抗HIV成分ダウリクロメン酸の生合成経路解明と微生物生産(田浦太志・飯島未宇)

要旨
ダウリクロメン酸は極めて強い抗HIV活性を示すことから注目される天然医薬資源である。本稿ではダウリクロメン酸の生合成研究で得られた成果を紹介し、酵素遺伝子を活用した本化合物の微生物生産について展望する。

◆バイオマス変換に向けたリグニンとその親和性分子における相互作用解析(渡辺隆司・德永有希)

要旨
植物バイオマス変換では、選択的リグニン分解とリグニンによる糖化酵素の活性阻害の軽減が求められる。本稿では、リグニン認識の分子ツールとなるペプチドと、セルラーゼの糖質結合モジュール(CBM)とリグニン間の結合について解説する。

トピックス

◆抗生物質ホスホマイシン生合成経路の全貌解明(佐藤秀亮・工藤史貴・江口 正)

◆シリカを誘導剤とする異種タンパク質発現システム(藤野泰寛・土居克実)

◆デジタルアッセイによるインフルエンザウイルスの超高感度検出法の開発(田端和仁)

◆低濃度Tetra-PEGハイドロゲルの医療応用(酒井崇匡・増井公祐)

◆みどりの香り生成に関わる還元酵素の同定(松井健二)

◆iPS細胞由来抗がんCD8T細胞による再生免疫療法(南川淳隆)

◆細胞表層提示酵母を利用したクラフトパルプからのキシリトール生産(番場崇弘・猪熊健太郎・Gregory Guirimand・蓮沼誠久)

産業と行政

◆バイオ戦略2019について(森 幸子・服部 正)

地域産業支援機関の活動⑥
◆福岡バイオバレープロジェクトの取組み(藤田和博)

特集

我が国養殖業の持続可能な展開へ向けて

◆我が国養殖業の持続可能な展開へ向けて(伊藤文成・和田時夫)

NEDOスマートセルプロジェクト

長鎖DNA合成・解析技術の開発
◆DBTLサイクルに即した長鎖DNA構築技術の開発(柘植謙爾・寺井悟朗・谷内江望)

メタボローム解析技術開発
◆スマートセル開発に資するメタボロミクス技術(蓮沼誠久)

糖鎖研究から創薬への挑戦

◆特集を組むにあたって(岸本利光)

◆次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業 ─糖鎖利用による革新的創薬技術開発事業─について(渡部清美)

国際動向

◆BioProcess International Asia 2019参加報告(渡邊正人)

グローバル連携シリーズ⑩
◆マレーシア・バイオ産業における機会(Riduan  Rahman)

機構紹介

◆所有から共用へ:分子・物質合成プラットフォームの紹介(箕輪貴司)

JBAニュース

JBA研究会紹介
◆機能性食品研究会

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