2019 VOL.77 NO.1

巻頭言

・Connected Industriesの構築に向けて(石塚博昭)

目で見るバイオ

・高速原子間力顕微鏡で生きた細胞表面の動態を見る(吉田藍子・鈴木勇輝・吉村成弘)

・オルガネラから臓器までのpHを可視化する(花岡健二郎)

解説

・超好熱アーキアの新規UDP-GalNAc生合成経路(河原林 裕)

要旨
グルコサミン6リン酸をガラクトサミン6リン酸に変換する新規酵素を発見したことにより、超好熱アーキアSulfolobus tokodaiiでの独立なUDP-GalNAc生合成経路の存在を実証した。本酵素は新規糖リン酸合成への応用が期待される。

・細胞のラマンスペクトルから遺伝子発現プロファイルを推定する新手法(亀井健一郎・小林鉱石・中岡秀憲・若本祐一

要旨
従来技術でのオミクス情報の取得は細胞破壊を伴う。本稿では遺伝子発現情報をラマン散乱光から抽出する手法を紹介し、生細胞オミクスの可能性について議論する。また迅速で安価なトランスクリプトーム計測スキームを提案する。

・下水汚泥を資源としたメタン生成促進(前田憲成)

要旨
下水汚泥のメタン発酵では、多種多様な微生物が複雑に相互作用し、加水分解、酸生成、メタン生成の反応が進行する。本稿では、筆者が行った、下水汚泥中の菌叢変化がもたらすメタン生成促進と炭酸利用に関する研究成果を紹介する。

・酵母におけるオルガネラ間のステロール輸送機構(福田良一)

要旨
真核細胞の生体膜を構成する主要脂質であるステロールは、小胞体で合成された後、細胞膜や他のオルガネラ膜へ輸送される。酵母を用いた解析によりステロールのオルガネラ間の輸送機構が明らかになってきた。

・水溶性シトクロムP450を固定化酵素として利用するために(平川秀彦)

要旨
細菌由来シトクロムP450は触媒活性を発揮するためには2 つの補助タンパク質を必要とする。自己集合する足場タンパク質を使うことにより、自己充足型酵素へと変換し、その利用性を大きく高めることができる。

・生きたままで生体内pHを測定できる蛍光色素の開発(花岡健二郎)

要旨
新たな近赤外蛍光色素の開発によって、生きたままの生体内のpHを測定できる蛍光プローブの開発に成功した。それを用いて、細胞内リソソームおよびリサイクリングエンドソームや、動物体内の腫瘍や腎臓でのpH 測定に成功したので紹介する。

トピックス

・第3のロドプシン:ヘリオロドプシンの発見(井上圭一・神取秀樹)

・酵母のマルトース資化性をつかさどる遺伝子MAL73の同定(大舘 巧・畠中治代・大村文彦・小埜栄一郎)

・デコイ分子を用いたベンゼンからフェノールへの微生物変換(唐澤昌之・荘司長三)

・高速AFMによるエンドサイトーシス膜変形過程のライブセルイメージング(吉田藍子・鈴木勇輝・吉村成弘)

・フラボノイド配糖体から二糖を遊離させる糸状菌由来加水分解酵素(小関卓也)

・廃水中の難分解性1, 4- ジオキサンを分解する未知微生物群の動態(青柳 智・羽部 浩・尾形 敦・堀 知行)

・精密ろ過膜を通り抜ける「ろ過性細菌」(中井亮佑)

・腸内細菌叢による「ハイブリッド・ポリアミン生合成機構」(松本光晴)

国際動向

・ドイツのバイオテクノロジー産業の概況、公的支援およびエコシステム(橋口 恵)

・バイオエコノミー社会におけるバイオマス利用の動向(柴田大輔)

バイオの窓

・"アラン・ドロン"になりたい(中村 聡)

産業と行政

・教育研究の現場から国立大学の現状を憂う(横田 篤)

・北海道のバイオ産業~更なる成長へ向けて~(工藤昌史)

機構紹介

・アグリゲノム産業研究会-アカデミアと産業界の交流を目指して-(磯部祥子・岩田洋佳・布目 司)

JBAニュース

・BioJapan2018/再生医療JAPAN2018

・第2回バイオインダストリー大賞、バイオインダストリー奨励賞 表彰式・記念講演会を開催

バイオエンジニアリング研究会
・中外製薬工業㈱浮間工場 バイオ医薬品原薬製造プラント(UK3)見学会(松野哲巌)

・植物バイオ研究会活動報告(柴田大輔)

・JBAの「バイオベンチャーダイレクトリー」の紹介
 ~国内バイオ産業のオープンイノベーション支援プラットフォームを目指して~

・JBA発酵と代謝研究会 平成30年度第1回勉強会(上田賢志)

一覧へ戻る