2020 VOL.78 NO.4

更新日:2020年7月31日

巻頭言

◆化学物質の安全性評価と毒性病理学(鰐渕英機)

総説

◆植物二次代謝産物による根圏微生物叢の形成と制御(杉山暁史・中安 大)

要旨
 移動することができない植物は様々な生物学的、非生物学的ストレス環境に適応するために多様な代謝産物を獲得してきた。これら植物二次代謝産物は植物体内で機能するほか、根から土壌中に分泌され、根近傍土壌である根圏でも多様な役割を担う。根圏での機能として近年着目されているのは、植物二次代謝産物による根圏微生物叢の形成とその制御である。根圏微生物叢は植物の生育と密接に関係するため、根圏微生物叢の機能を活用した環境保全型農業等の応用展開が期待されている。本稿では、植物二次代謝産物を介した植物-根圏微生物叢相互作用研究の現状と応用利用に向けた展望を紹介する。

◆広がりを見せる食餌性植物セラミドの生体調節機能(湯山耕平・江口晃一・五十嵐靖之)

要旨
 セラミドは、スフィンゴイド塩基と脂肪酸が結合した脂質分子で、生体膜成分として様々な生物に含まれている。機能性食品素材としても注目されており特に皮膚バリア機能の改善効果はよく知られている。本稿では、食事成分として摂取する機会の多い植物セラミドを取り上げ、体内吸収機構など基本的な知見を含めて、皮膚バリア改善やアルツハイマー病原因物質を減少する効果など近年広がりを見せる食餌性植物セラミドの機能を紹介する。

解説

◆加齢性疾患の原因となる刺激性終末糖化産物(AGEs)の検出法の開発(町田幸子・小堀俊郎・立松謙一郎・瀬筒秀樹)

要旨
 多様な化学構造を持つ分子種の集合である終末糖化産物の中から、生体へ負の影響を与える構造を判別・評価する手法を開発した。本稿では、その着眼点と手法の要となる分子の遺伝子組換えカイコによる生産を紹介する。

◆人工金属酵素による生体内での有機合成の実現と機能発現(山本智也・田中克典)

要旨
 生体内での遷移金属触媒の利用を目指して筆者らのグループでは、アルブミンを用いた人工金属酵素を開発してきた。本稿では、人工金属酵素を用いたがん細胞表面での生物活性物質の合成と植物生体内で利用可能なエチレンセンサーについて紹介する。

トピックス

◆物質生産とエネルギー獲得を独立させるパラレル型代謝工学技術(藤原良介・野田修平・田中 勉)

◆改良型フルクトース転移酵素を用いたケストース生産(藤井 匡)

◆バイオ燃料生産に向けたラン藻由来アルカン合成酵素の高活性化(工藤 恒・林 勇樹・新井宗仁)

◆季節の異常変動予測、ウミガメがお助け(土井威志)

◆植物煎じ液中に含まれるナノ粒子の発見(小泉桂一)

◆(+)-カテキンを介した大腸がん細胞のヒストンメチル化の減少(荻原洲介・小松 徹・浦野泰照)

Leptothrix属細菌の分泌ナノ繊維を介した生存戦略(久能 樹・山本達也・Andrew S. Utada・野村暢彦)

◆難培養性アーキアからみえてきた真核細胞の起源(井町寛之・延 優)

産業と行政

◆ポリアミンと健康についての最新事情~欧米での研究事例を中心に~(栗原 新)

◆バイオ戦略2019を踏まえた戦略実装としてのロードマップ策定(井出寛子・増田宏之・坂元雄二)

地域産業支援機関の活動⑨
◆NPO 法人近畿バイオインダストリー振興会議のバイオ産業支援の取組み(松村俊彦)

◆希少生物スイゼンジノリの自生地の現状と保全に向けた取組み(谷口智之・兼崎 友・金子慎一郎・大城 香)

特集

糖鎖研究から創薬への挑戦

◆高純度糖タンパク質の化学合成アプローチ(梶原康宏)

NEDOスマートセルプロジェクト

輸送体探索技術
◆物質生産の効率化に向けた輸送体探索技術の開発(七谷 圭・中山真由美・熊谷俊高・阿部敬悦)

◆HTPトランスクリプトーム解析技術(三谷恭雄・野田尚宏・菅野 学)

我が国養殖業の持続可能な展開に向けて

◆経営的視点からみた持続可能な養殖業のあり方(佐野雅昭)

バイオの窓

◆コロナかインフルか(北川 航)

JBAニュース

◆緊急特別講演の動画配信(JBA 会員限定) 過去のJBA セミナー動画も是非この機会に閲覧を

2019 年度発酵と代謝研究会第2 回勉強会
◆「これからのバイオインダストリーを考える ─バイオ戦略2019 の目指すもの、化学・食品産業の今後の展開─」

2019 年度発酵と代謝研究会講演会
◆「未来を見据えたバイオの確かなうねり ─バイオ戦略と低炭素・ゲノム/遺伝子・宇宙によりそうバイオテクノロジ─」

JBA研究会紹介
◆発酵と代謝研究会

JBA研究会紹介
◆新資源生物変換研究会

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