2020 VOL.78 NO.6

更新日:2020年12月 1日

巻頭言

◆研究の多様性(関 実)

総説

◆新奇な体験による記憶強化の分子基盤の解明を目指して(奥田耕助・中本千尋・竹内倫徳)

要旨
 私たちの日常の記憶は通常1日で忘れさられるが、前後に新奇な体験を伴う場合、記憶の固定化が起こり、長期間にわたって保持されることが知られている。筆者らは、青斑核から海馬へ放出(出力)された脳内化学物質ドーパミンによる刺激が、新奇な体験の情報を伝達することで、記憶保持の強化を担うことを明らかにした。この新奇な体験による青斑核から海馬へ放出されたドーパミンの光計測を行うため、ドーパミンに高い親和性を持つ蛍光タンパク質バイオセンサーの開発を行った。新奇な体験による記憶強化の分子基盤はいまだ不明な点が多いが、ドーパミン刺激によって海馬の神経細胞で合成されるタンパク質が重要な役割を担っていると考えられる。

解説

◆非協会系清酒酵母を利活用した菌株育種・評価の新展開(柴田裕介・山﨑梨沙・赤尾 健)

要旨
 清酒酵母の主流はいわゆる協会系の菌株だが、最近、非協会系の菌株への関心が高まりつつある。ここでは、非協会系の菌株である「キクマサ酵母」の葉酸高蓄積機構と「広島6号」の交配育種ツールとしての利活用について紹介する。

◆タンパク質間相互作用解析に有用な高機能ビオチン標識酵素AirID(城戸康希・澤崎達也)

要旨
 近位依存性ビオチン標識法は、in vitroおよび細胞内において相互作用するタンパク質を簡便かつ網羅的にビオチン標識できる技術である。本稿では、筆者らが開発した新たな近位依存性ビオチン標識酵素AirIDについて紹介する。

トピックス

◆植物が害虫の糖エリシターを認識する機構(有村源一郎)

◆酵母プリオンのアミロイド線維形成過程のタイムラプスモニタリング(紺野宏記)

◆特異的mRNA分解を介した大腸菌の酸耐性発現機構(神田 健・和地正明)

◆ナノ構造電極による酸化還元酵素の活性制御(三重安弘・安武義晃)

◆従属栄養細菌のCO2依存的な極貧栄養環境適応(永田裕二)

◆糖鎖ポリペプチド結合微粒子による馬インフルエンザウイルスの高感度検出(尾形 慎・左 一八・山中隆史・根本 学)

◆人工細胞と固体表面をつなぐ接着ナノファイバー~新規生体触媒の開発を目指して~(石川聖人・堀 克敏)

◆乾燥ストレスに対する植物の初期応答機構(相馬史幸・篠崎和子)

◆シングルセルRNA-seq解析から明らかになった分裂酵母の目覚め機構(露崎 隼・細川正人・竹山春子・佐藤政充)

◆ノンターゲットメタボローム解析による未知成分の同定に有用なレポジトリ構築(櫻井 望)

◆微生物由来の新規ACE2様酵素による循環器疾患症状の改善作用(久場敬司・韮澤 悟)

バイオの窓

◆COVID-19がもたらす変革を考える(田代幸寛)

産業と行政

地域産業支援機関の活動⑩
◆殿町キングスカイフロントの未来 ~世界最高水準のライフサイエンスクラスターを目指して~(三浦 淳・河野 裕)

◆バイオベンチャー企業が取るべき特許戦略について(木原啓一郎・坂井田 京・三原健治)

特集

糖鎖研究から創薬への挑戦

◆糖鎖創薬のPOC(入村達郎)

NEDOスマートセルプロジェクト

◆「スマートセルインダストリー創出に向けた植物バイオ」の連載開始について

◆スマートセルインダストリー創出に向けた植物バイオの新たな一歩(松村 健)

バイオプラスチック

◆バイオプラスチックの導入事例と識別表示(森 浩之)

第4回バイオインダストリー奨励賞受賞業績大賞・奨励賞

◆第4回バイオインダストリー大賞インタビュー・奨励賞受賞者紹介

第4回バイオインダストリー奨励賞受賞業績

◆環境調和型バイオインダストリーを志向した新しい抽出分離技術の開発(大田昌樹)

◆ゲノム合成時代のセルフリーDNAクローニング(末次正幸)

◆生体接着性オプトエレクトロニクスによる革新的光がん治療システムの創製(藤枝俊宣)

総目次

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