2022 VOL.80 NO.1

更新日:2022年1月20日

巻頭言

◆日本発の創薬イノベーションの実現に向けて(岡田安史)

総説

◆クライオ電子顕微鏡が解き明かす細菌べん毛モーターの対称性構造(川本晃大・宮田知子・難波啓一)

要旨
多くの細菌は、菌体の周囲にべん毛と呼ばれる運動器官を数本持ち、自身に最適な環境を求め泳ぎ回る。べん毛は30種類にも及ぶタンパク質によって構成される超分子複合体で、様々な対称性構造を駆使して自己構築し、高性能な分子モーターとして機能することが分かってきた。本稿では、近年飛躍的に進歩したクライオ電子顕微鏡の構造解析技術を用いて明らかになった様々な対称性構造に着目し、べん毛全体がスムーズに構築されていく分子機構や、発生したトルクを高効率で伝達する分子機構について概説する。

◆代謝物質量分析インフォマティクスの最新の研究動向と展望(津川裕司)

要旨
質量分析はメタボローム、プロテオーム、グライコームなど、様々な生体分子の包括的解析に頻用される計測手法である。オミクス科学で扱う生体分子は多種多様であり、一度の計測で1万を超えるイオンが観測されるため、情報科学研究の発展が必要不可欠である。本総説では、メタボロームに焦点を絞り、質量分析データに対するインフォマティクス研究の最新の動向を紹介する。また、代謝研究を軸としたシステムバイオロジーをさらに発展させるため、これまでの研究手法では困難であった構造異性体の判別や代謝イメージングに対する将来展望についても記載した。

解説

◆次世代農業資材を目指した二本鎖RNA大量発現技術(羽城周平・安枝 寿)

要旨
環境・自然生態系に適合した次世代農薬としてRNA農薬への期待が高まっている。筆者らが開発した「コリネ型細菌を宿主とした組換えRNA発現系」を用いた、RNA農薬の作用本体である二本鎖RNAの大量発現技術を紹介する。

◆発酵生産プロセスにおけるDX:データ駆動型のリジン発酵自律制御システムの開発(徳山健斗・清水 浩)

要旨
人工知能やクラウドなど高度なデジタル技術が普及したことで、バイオ生産プロセスのデジタル変革(DX)が急速に進んでいる。本稿では、筆者らが開発したデータ駆動型のバイオ生産プロセス制御・計測技術を紹介するとともに、DXに向けた課題と展望を述べる。

トピックス

◆なぜ現代人には虫嫌いが多いのか?(深野祐也)

◆柑橘果皮に含まれる脳機能保護成分の探索と飲料開発(古川美子・天倉吉章)

◆葉緑体ゲノムの標的一塩基置換(中里一星・有村慎一)

◆腸内ビフィズス菌の遺伝子解析によるプレバイオティクスの効果予測(吉田圭佑・小田巻俊孝)

◆低分子型二重特異性抗体の高機能化戦略(浅野竜太郎・熊谷 泉)

◆低分子化合物によるタンパク質溶液粘度の制御法(西奈美 卓・白木賢太郎)

◆胃組織の幹細胞らしさを決める新たな分子機構の発見(村上和弘)

◆植物において転写が活性化している細胞のライブイメージング(澁田未央・松永幸大)

◆「まばたき」も再現する角膜・オン・チップ(亀井謙一郎)

バイオの窓

◆受け継がれる研究哲学(片岡尚也)

産業と行政

日本版バイ・ドール制度の政策効果の把握に向けて:特許出願の全般的状況とバイオテクノロジー分野の状況(中山保夫・細野光章・富澤宏之)

アンケート調査から見た「バイオエコノミー」の国民への浸透状況(大田方人・赤間 剛・髙原 学)

特集

◆第5回バイオインダストリー大賞特別賞 受賞者インタビュー

マイクロバイオーム

◆ヒト腸内マイクロバイオームのロングリードメタゲノム解析(須田 亙)

JBAニュース

◆C1バイオエコノミー勉強会 ~新たな炭素循環像を基にしたC1炭素の利用~(白石晃將、由里本博也、阪井康能)

◆第5回バイオインダストリー大賞、バイオインダストリー奨励賞 表彰式・記念講演会を開催

◆BioJapan/再生医療JAPAN/healthTECH JAPAN 2021報告

◆高専生対象SDGs動画コンテスト2021『SDGsの達成に貢献するバイオエコノミーとバイオテクノロジー』をJBA/JABEX主催で初開催
 ~SDGs、バイオエコノミー、バイオテクノロジーの連関を目指して~

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