2023 VOL.81 NO.2

新春セミナー

・バイオエコノミー社会の実現に向けて「2023 年バイオ関連団体合同新春セミナー」

巻頭言

・イノベーションが起こるとき ―成果主義という名の管理主義―(赤羽浩一)

解説

・イネいもち病抵抗性タンパク質は付加ドメインを"擬似餌"として病原抵抗性を誘導する(寺内良平・清水元樹)

要旨
イネが重要病害であるいもち病に対して抵抗性を発揮するために必要なイネといもち病菌双方の遺伝子(PiasとAVR-Pias)を特定した。また、付加ドメインを有する抵抗性タンパク質の新しい進化様式を明らかにした。

・トウガラシにおけるベゴモウイルス抵抗性遺伝子の同定と病害防除への応用(小枝壮太)

要旨
ベゴモウイルスが引き起こす黄化葉巻病はトウガラシ生産における世界的な問題になっている。筆者は、トウガラシで初めてベゴモウイルス抵抗性遺伝子を同定し、ウイルス抵抗性品種による本病害の防除を可能にした。

・脂質酸化細胞死を抑制するビタミンKとその還元酵素の発見(伊藤隼哉・仲川清隆・三島英換)

要旨
ビタミンKがフェロトーシス(脂質酸化細胞死)を強力に抑制する作用を有することが新たに明らかとなった。さらに、このメカニズムを明らかにする中で、50年以上正体が不明であったビタミンKの還元酵素が同定された。

・酵母・線虫の寿命を延長するS-アデノシルホモシステインとその作用機構(水沼正樹)

要旨
アミノ酸の1つであるメチオニンの制限がモデル生物の寿命を延伸し、ヒトへの健康効果が見いだされるなど注目されている。メチオニン代謝経路による寿命延長機構とメチオニン代謝物によるメチオニン制限を誘導する介入法を紹介する。

・代謝制御を標的とした機能性食品成分の探索と機能解析(佐藤隆一郎)

要旨
機能性食品成分は生体内の標的分子に作用し三次機能を発揮する。基礎研究知見に基づき、代謝制御に関与する標的分子を定め、その活性、発現を増減させる成分探索系を構築し、見いだした機能性成分の作用機構の解析を行った。

トピックス

・フィコビリソームが太陽光エネルギーを吸収する仕組み(川上恵典・米倉功治)

・醤油乳酸菌に感染するファージの結合レセプター(脇中琢良)

・アーキアに寄生して好気的条件でも増殖可能な新規ナノアーキア(加藤真悟・伊藤 隆・大熊盛也)

・植物におけるグルタチオン分解代謝調節による硫黄分配メカニズム(伊藤岳洋・大津(大鎌)直子)

・ゲノム編集を用いた藻体回収に有利な遊泳不全ミドリムシの作出(石川まるみ・野村俊尚・玉木 峻・持田恵一)

バイオの窓

・放線菌を宝泉金にする技術継承は大丈夫か?(濱野吉十)

産業と行政

・令和5年度各省バイオ関連予算案

・日本で治療として提供される再生医療の現状と課題(藤田みさお)

・カーボンニュートラルに貢献するバイオエコノミー(坂元雄二)

・核酸医薬によるN-of-1+創薬の動向(中山東城・桑原宏哉・横田隆徳)

地域産業支援機関の活動⑬
・構想スタートから20年医療城下町から医療田園都市へ(植田勝智)

特集

第6回バイオインダストリー大賞受賞業績
・新世代抗体薬物複合体DXd-ADC 技術の開発(我妻利紀)

国際動向

・BIO-Europe 2022報告 ドイツザクセン州と西ブランデンブルグ地域のバイオエコシステム(山田 徹・塚本芳昭)

・PETバイオリサイクルはプラスチックリサイクルの一里塚となるか The World PET Biorecycling Summit 2022 in Parisより(河合富佐子)

JBAニュース

・Food Bio Plus研究会 キックオフミーティングについて

・BioJapan 2022スポンサーセミナー AMED RNA標的創薬技術開発事業について

一覧へ戻る