2023 VOL.81 NO.6

巻頭言

・大学院生を応援する(西山 真)

目で見るバイオ

・メラニン色素生合成には亜鉛が必要である(神戸大朋)

総説

・中鎖脂肪酸による非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症抑制(北野(大植)隆司・西田朱里・西川翔太・木村郁夫)

要旨
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、脂肪肝に伴う肝炎が進行し、肝硬変・肝がんへと移行することから致死的なリスク要因となり得る。ところが、その正確な進展機序は不明であり、NASH改善のための根本的な治療薬は世界的にもいまだ開発されていない。筆者らは、過食・高脂肪食摂取時において肝臓内で高産生される内因性の中鎖脂肪酸が、肝マクロファージに発現する中鎖脂肪酸受容体・GPR84を介して肝炎とそれに伴う肝線維化を改善することで肝機能保護に働く新たな分子作用機序を見いだした。さらに、中鎖脂肪酸摂取およびGPR84作動剤投与によりNASHへの進展が著しく抑制されたことから、今後、GPR84を標的としたNASH治療薬や機能性食品の開発に資することが期待できる

解説

・アミノ酸由来の香気成分に着目した清酒酵母の育種(磯貝章太・高木博史)

要旨
酵母がアミノ酸の代謝により生産する香気成分は、清酒の呈味性・香味性に大きく影響する。本稿では、香気成分の前駆体となるアミノ酸を高生産する清酒酵母の育種、および育種株のアミノ酸高生産機構の解析について紹介する。

・「機能性フードペアリング」に向けた緑茶のメタボリック・プロファイリング(藤村由紀・立花宏文)

要旨
本稿では、多成分混合系である食品の機能性に連動した多成分情報を包括的に捉えるとともに、生体が食品成分を感知する仕組みを理解することで、食品成分間の機能的な相互作用(機能性フードペアリング)を見いだす戦略を紹介する。

・環状ペプチドの効率的な化学―酵素合成法(松田研一・脇本敏幸)

要旨
筆者らは放線菌が生産する環状ペプチドの生合成研究の過程で、新規のペプチド環化酵素ファミリー(PBP-type TE)を見いだした。本稿ではPBP-type TEを用いた環状ペプチドの化学-酵素合成法について概説する。

トピックス

・遺伝子治療等に用いるAAVベクターの効率の良い産生法の開発(大庭賢二・榎 竜嗣)

・酢酸菌のペリプラズムを酵素反応の場とするプロトカテク酸生産(藥師寿治・阿野嘉孝)

・海洋深層水の環境DNA解析による深海生物多様性のモニタリング(吉田尊雄)

・機械学習による細菌の代謝システムの進化予測(今野直輝・岩崎 渉)

・黒いメラニン色素生合成における亜鉛要求性の発見(神戸大朋)

・立体選択的反応を触媒する人工金属酵素のデザイン(藤枝伸宇・松本隆聖)

・トリプトファン残基の選択的な酸化を利用したペプチドの二量化法(植田浩史・徳山英利)

・祖先型配列設計法による修飾ヌクレオチドを認識するRNA連結酵素の開発(萩原佑介)

・試飲中の表情からビールの好みを予測できるか?(脇平崇浩)

・腸内ビフィズス菌による硫酸化ムチン糖鎖の分解メカニズム(加藤紀彦・片山高嶺)

バイオの窓

・「植物バイオ」の温故知新:植物組織培養(關 光)

特集

・第7回バイオインダストリー大賞 受賞者インタビュー

・第7回バイオインダストリー大賞特別賞 受賞者インタビュー/大賞選考委員長コメント

・第7回バイオインダストリー奨励賞 10人のメッセージ/奨励賞選考委員長コメント

この素材!この技術!が世の流れを変えた!
・食生活の革命 ~即席麺・カップ麺の独創的なブレークスルーと革新的なイノベーション~(日清食品ホールディングス㈱)

産業と行政

ヒトゲノム解読20周年記念(1)
・「ヒトゲノム解読」を成し遂げた志士たちの挑戦(榊 佳之)

AMED「RNA標的創薬技術開発事業」から創薬を目指して(3)
・核酸医薬の製造・精製・分析(小比賀 聡)

高度バイオ製造人材育成はわが国の喫緊の課題(4)
・高度人材育成に向けた客観的評価法の構築 ~パーソル高度バイオDX産業人材育成協働研究所の取組~(大政健史)

・ちとせ研究所のバイオ生産へのAI活用戦略と人材育成(河合哲志)

Food Bio Plus研究会がめざす課題解決の方向性(4)
・魚類細胞由来の培養脂肪の商業生産を目指して(杉井重紀)

・大豆をモデルに土壌微生物アトラスで循環型共生農業を実現する(竹山春子)

JBAニュース

・JBAバイオリーダーズ研修2023

・BIO Asia-Taiwan 2023参加報告

Food Bio Plus研究会
・公開市民講演会「人・社会・地球の健康を実現する未来の食」開催報告(小川 順)

総目次

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