2025 VOL.83 NO.5

巻頭言

・ご挨拶、バイオへの抱負(浅野 敏雄)

目で見るバイオ

・超高感度ペプチドプローブによる急性腎障害の可視化(近藤 洋平・山東 信介)

総説

・CYP722 ファミリーの進化がもたらすストリゴラクトンの構造と機能の多様性(若林 孝俊・杉本 幸裕)

要旨
ストリゴラクトン(SL)は、植物ホルモンとしての機能に加え、根圏におけるシグナル分子と しても重要な役割を担う植物代謝産物群の一つである。SL の特徴の一つである構造多様性は、 その機能の多様化と密接に関連しており、近年ではSL 分子の構造ごとに異なる生理活性を示 すことが明らかとなってきた。本総説では、SL の構造多様化に関わる酵素群の中でも、特に CYP722 ファミリーに属するシトクロムP450 酵素の機能とその進化的背景に焦点を当て、生 合成経路において果たす役割や、構造の異なるSL 分子の機能的特性について、筆者らの最近 の成果を含めて紹介する。

解説

・mTORC1 によるRNA スプライシングを介した成長・代謝・寿命制御(小川 貴史・水沼 正樹)

要旨
栄養に応答した細胞は、転写、翻訳だけでなく、RNA スプライシングを介して遺伝子発現を変 化させる。本稿では、栄養応答因子mTORC1 によるRNA スプライシングを介した成長・代謝・ 寿命制御機構とその展望を紹介する。

トピックス

・ヒト腸内細菌叢代謝経路データベース"Enteropathway"の開発(城間 博紹・山田 拓司)

・超偏極MRI 分子プローブによる生体内オリゴペプチド代謝の直接検出(近藤 洋平・山東 信介)

・腸内細菌の菌体外多糖産生を介したスクロース誘発性肥満の抑制(宮本 潤基・木村 郁夫)

・酢酸菌の分解酵素欠失株による2-ケトグルコン酸の高生産(中島 さくら・藥師 寿治)

・イネにおけるキチン受容体を介した害虫の食害感知機構(神田 恭和・新屋 友規・森 昌樹)

・リボソームを試験管内で遺伝子から合成して再構成する技術(青木 航)

・真核生物とアーキアに共通するゲノム三次元構造の形成機構(竹俣 直道・跡見 晴幸)

・植物成長を促進する新規ブラシノステロイドシグナル伝達因子BIL7(中野 雄司・山上 あゆみ)

・酵母誘導性プロモータの設計指針と異種タンパク質生産への応用(冨永 将大・近藤 昭彦・石井 純)

バイオの窓

・「見えにくい価値を見えるかたちに」―博士と社会のこれから(戸田 雅子)

特集

この素材!この技術!が世の流れを変えた!
・健康・食分野における電気味覚技術の応用(佐藤 愛)

・高付加価値酵母エキスの開発:基礎から応用、商業生産まで(松本 健史・狩野 貴弘)

第8 回バイオインダストリー奨励賞 受賞業績
・医薬品の胎児への移行性評価に資するヒト胎盤バリアモデルの開発(堀 武志)

・生化学と異分野技術の融合による可溶性発現技術の開発(松井 大亮)

・細胞内解糖系酵素の集合原理とその応用に関する研究(三浦 夏子)

産業と行政

バイオものづくりプロジェクト(14)
・ミリオンスクリーニング技術 ─世界最高の探索・育種技術を目指して(小笠原 渉・鈴木 義之)

JBAニュース

・BIO KOREA 2025 参加報告

・SynBioBeta 2025 参加報告

・デンマーク―日本カンファレンス"未来の食料生産- 持続可能な食料安全保障"参加報告

・持続可能な農業を目指すバイオ炭開発の最前線


・会員の動き

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