機関誌・ライブラリ

最新号の目次

2024 VOL.82 NO.5

巻頭言

・大学発ベンチャーと森ビル(石川義弘)

目で見るバイオ

・植物の小さな化学工場「分泌性トライコーム」(神谷岳洋)

解説

・麴菌のTPP結合型リボスイッチによる遺伝子発現制御機構とその応用(山内隆寛)

要旨
リボスイッチとは、メッセンジャーRNA(mRNA)の一部で、ビタミンなどの低分子化合物が直接結合して遺伝子発現を制御する。本稿では、麴菌で発見されたリボスイッチの分子機構の解析とその応用について紹介する。

・タンパク質立体構造の乱れを標的とするがん特異的抗HER2抗体(有森貴夫)

要旨
がん治療において抗体は重要な創薬モダリティであるが、治療に適した標的分子の探索が課題となっている。本稿では、がん細胞上のタンパク質の「立体構造の乱れ」に着目した新たな抗体医薬品開発戦略の可能性について解説する。

・昆虫のオス致死を引き起こす共生ウイルスの発見(長峯啓佑・陰山大輔)

要旨
昆虫に共生し、母から子に伝播する細菌の中には宿主の生殖を操作するものがいる。近年、共生細菌ではなく、共生ウイルスから生殖操作の1つ「オス致死」を引き起こすものが発見された。本稿ではその詳細や意義を紹介する。

・分泌酵素高生産で誘導される麴菌の小胞体ストレスに依存したmRNA分解(田中瑞己・五味勝也・新谷尚弘)

要旨
麴菌がでんぷん分解酵素を高生産するためには、小胞体ストレスへの対応が重要である。本稿では、筆者らが発見した小胞体ストレス依存的なmRNA分解機構を中心に、麴菌における小胞体ストレス応答機構について解説する。

トピックス

・生分解性プラスチックは深海でも微生物により分解される(岩田忠久)

・クロマチンアクセシビリティを制御する新規因子の発見と応用(宮成悠介)

・酵母が細胞増殖できる上限温度を自ら抑える仕組み(両角佑一)

・植物の有用物質蓄積と分泌に必要な表層構造の発見(神谷岳洋)

・炭素五員環骨格を形成する新規Ⅱ型ポリケチド合成酵素の発見(日比玄紀・葛山智久)

・母親の育児ストレスとレジリエンスに関連する腸内細菌叢(松永倫子・明和政子)

・大腸菌におけるSAMバイオセンシングシステム(渡邊太郎・木村友紀・梅野太輔)

・有性生殖を捨て去る真菌の事情:イネいもち病菌の研究から(鎌倉高志・内田百岳・荒添貴之)

バイオの窓

・ミドルシニア企業研究者のキャリアデザイン(佐々木隆史)

国際動向

・BIO International Convention 2024参加報告およびサンディエゴのエコシステム(塚本芳昭・森下節夫・高倉 薫)

産業と行政

バイオコミュニティの現在(5)
・北海道プライムバイオコミュニティ~魅力的で持続可能な一次産業を目指して(瀬戸口 剛)
・大学を核とする次代の基盤づくり 鶴岡のダイナミズム(坂井明子)

バイオものづくりプロジェクト(4)
・機械学習による培養状態の把握と最適化(河合哲志)

バイオものづくりプロジェクト(5)
・バイオものづくりを担うバイオファウンドリについて(古城 敦)

ヒトゲノム解読20周年記念(6)
・次の20年:治療にむけて(菅野純夫)

特集

第7回バイオインダストリー奨励賞 受賞業績
・翻訳効率を向上させるペプチドに関する研究(加藤晃代)

・日欧ヒト腸内常在菌叢における最優勢種のハイスループット培養・解析法の開発と応用(栗原 新)

・Proteoformレベルの酵素機能網羅的解析に基づく疾患診断技術の開発(小松 徹)

・浄水処理工程におけるヒトカリシウイルスの未知動態の解明と処理技術の高度・高効率化(白崎伸隆)

この素材!この技術!が世の流れを変えた!
・熊本地震後の創造的産地復興に貢献したイチゴ「恋みのり」(曽根一純)
・モモの香りのする種間雑種イチゴ「桃薫」(野口裕司)
・β-クリプトキサンチン高含有カンキツ品種の開発に向けて(野中圭介)

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