【ニュースリリース】第9回「バイオインダストリー大賞」「大賞 特別賞」受賞者決定! | 一般財団法人バイオインダストリー協会[Japan Bioindustry Association]
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【ニュースリリース】第9回「バイオインダストリー大賞」「大賞 特別賞」受賞者決定!

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一般財団法人バイオインダストリー協会

第9回「バイオインダストリー大賞」「大賞 特別賞」受賞者決定!

  (一財)バイオインダストリー協会(会長:吉田稔)は,「新規アルツハイマー病治療薬、抗アミロイドβ抗体レカネマブの開発」の業績に対して、木村禎治氏を代表者とするエーザイ(株)とバイオアークティック社の共同研究グループに第9回「バイオインダストリー大賞」を贈ることを決定しました。
  また、バイオインダストリーの発展のため新しい分野を拓くことに貢献をした、帝人(株)、福井経編興業(株)、大阪医科薬科大学の3者共同開発グループによる「In situ 組織再生を実現する心・血管修復パッチの開発と実用化」の業績に対して、第9回「バイオインダストリー大賞 特別賞」の授与を決定しました。

 「バイオインダストリー大賞」は、2017年、(一財)バイオインダストリー協会が30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて "最先端の研究が世界を創る―バイオテクノロジーの新時代―"をスローガンにスタートしたもので、バイオインダストリーの発展に大きく貢献した、または、今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰し、今年で8回目となります。

 東京科学大学 名誉教授・元学長 相澤益男氏を選考委員長とする選考委員会によって厳正な審査を経て、大賞受賞者1件、大賞 特別賞受賞者1件を決定しました。

 なお、贈呈式・受賞記念講演会は来たる10月8日(水)、国際的なバイオイベント"BioJapan 2025"の会場(パシフィコ横浜)にて行われます。詳細につきましては、追ってご案内いたします。

バイオインダストリー大賞 受賞者

(敬称略)

受賞者 所属・役職
木村 禎治 エーザイ(株) 上席執行役員
グローバルADオフィス ヘッド
Lars Lannfelt Co-Founder & Board Member, BioArctic AB
MD, PhD, Senior Professor, Department of Public Health and Caring Sciences/Geriatrics, Uppsala University, Sweden
加藤 弘之 エーザイ(株) 取締役
小山 彰比古 エーザイ(株) 理事
クリニカルリサーチ デジタルイノベーションヘッド
小川 智雄 エーザイ(株) 理事
日本・アジア申請登録担当付ニューロロジークリニカルフェロー

<受賞業績>

「新規アルツハイマー病治療薬、抗アミロイドβ抗体レカネマブの開発」

 エーザイ株式会社とバイオアークティック社の共同研究グループは、アルツハイマー病(AD)の主要因とされるアミロイドβプロトフィブリルに選択的に結合することで脳内から除去し、病態の進行を抑制するヒト化抗体「レカネマブ」の開発に成功しました。
 従来の症状改善薬と異なり、世界で初めてADの早期段階での疾患進行抑制効果を臨床試験で実証したもので、2023年に日本と米国で承認されています。レカネマブはADによる軽度認知障害の段階から治療介入が可能で、次の認知症ステージへの移行を約3年間遅らせる効果が期待でき、医療・介護費の軽減への寄与も見込まれます。1992年に提唱されたアミロイドカスケード仮説に沿って、Lannfelt教授らが発見したアークティックミューテーションに基づき、特に神経毒性の強いAβプロトフィブリルをターゲットに鋭意開発を進めた本成果は、日本発の世界に打って出る創薬研究であり、国内外のバイオインダストリーの発展に大きく貢献すると期待され、第9回バイオインダストリー大賞に最も相応しいと高く評価されました 。

バイオインダストリー大賞 特別賞 受賞者

(敬称略)

受賞者 所属・役職
藤永 賢太郎 帝人(株) 再生医療・埋込医療機器部門
インプランタブルメディカルデバイス開発部 部長
根本 慎太郎 大阪医科薬科大学 医学部 外科学講座 胸部外科 教授
大阪医科薬科大学病院 小児心臓血管外科 診療科長
髙木 義秀 福井経編興業(株) 代表取締役社長

<受賞業績>

「In situ 組織再生を実現する心・血管修復パッチの開発と実用化」

 帝人株式会社、福井経編興業株式会社、大阪医科薬科大学による3者共同開発グループは、小児の先天性心疾患手術向けに、患者体内で自己組織に置換される画期的な心・血管修復パッチを世界で初めて実用化しました。本製品は、アカデミアの医療課題と解決アイデア、繊維産業で長年培われてきた地場の企業の革新的な繊維加工技術、大企業の製品開発力を結集して誕生しました。2023年に医療機器として承認、2024年に上市。2025年3月時点で100名以上の患者に使用され、再手術の低減や医療費削減など大きな波及効果を生みつつあります。
 小児用医療機器開発の難しさを乗り越え、国際展開も進む本取り組みは、"令和版・下町のロケット"とも呼ぶべき医工連携による日本発イノベーションであり、バイオインダストリー大賞 特別賞に相応しいと評価されました。

大賞選考委員会(五十音順、敬称略)

(委員長)
相澤 益男     東京科学大学 名誉教授・元学長、(公社)科学技術国際交流センター 会長

(委員)
石塚 博昭     三菱ケミカル(株) シニアエグゼクティブコンサルタント
大隅 典子     東北大学 大学院医学系研究科 教授、経営戦略本部アドバイザー
太田 明徳     中部大学 監事、東京大学 名誉教授
片岡 一則     (公財)川崎市産業振興財団 副理事長、ナノ医療イノベーションセンターセンター長
          東京大学 名誉教授
久保庭 均    Renzoku Biologics 株式会社 代表取締役 CEO
五條堀 孝    アブドラ国王科学技術大学 特別栄誉教授、国立遺伝学研究所 名誉教授
辻村 英雄     川崎重工業(株) 社外取締役
松田 譲     (公財)加藤記念バイオサイエンス振興財団 名誉理事
松永 是     (国研)海洋研究開発機構 アドバイザー
宮田 満     (株)宮田総研 代表取締役
三輪 清志     (一社)バイオ産業情報化コンソーシアム 顧問
室伏 きみ子    ビューティ&ウェルネス専門職大学 学長
          お茶の水女子大学 名誉教授・前学長
吉田 尚弘     東京科学大学 地球生命研究所 特任教授・名誉教授
         (国研)情報通信研究機構 上席招聘研究員
吉松 賢太郎   (株)凜研究所 取締役


■ニュースリリースPDF版(776KB)→ award_release_taisho2025.pdf

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