第9回バイオインダストリー大賞、大賞 特別賞、バイオインダストリー奨励賞の 表彰式・講演会を開催しました
「最先端の研究が世界を創る-バイオテクノロジーの新時代-」をスローガンに、(一財) バイオインダストリー協会(JBA)が2017年に創設した「バイオインダストリー大賞」と「バイオインダストリー奨励賞」。第9回目となる今年は、10月8日(水)、BioJapan 2025の会場であるパシフィコ横浜にて表彰式と講演会を執り行った。
表彰式
パシフィコ横浜の全エリアを使用して行われた大規模イベント「BioJapan 2025」の会場の一角にあるノース棟にて、表彰式と講演会が開催された。第9回バイオインダストリー大賞は、木村禎治氏を代表者とするエーザイ株式会社とバイオアークティック社の共同研究グループの「新規アルツハイマー病治療薬 抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブの開発」に関する研究業績に贈られた。また、バイオインダストリーの発展に寄与する新たな分野を開拓し、卓越した新価値の創出を評価するために2021年に創設された「バイオインダストリー大賞 特別賞」には、藤永賢太郎氏を代表者とする帝人株式会社、福井経編興業株式会社、大阪医科薬科大学の3者共同開発グループの「In situ組織再生を実現する心・血管修復パッチの開発と実用化」の業績に対して贈られた。
続いて、バイオサイエンスやバイオテクノロジーに関連する応用を指向した研究に携わる有望な若手研究者を表彰する「バイオインダストリー奨励賞」には、12人の新進気鋭の若手研究者が選出され、JBA吉田稔会長から表彰状と賞牌が授与された。
(前列左より)吉田稔JBA会長、大賞 木村禎治氏、相澤益男選考委員長
(後列左より)加藤弘之氏、小山彰比古氏、小川智雄氏
(前列左より)吉田稔JBA会長、大賞 特別賞藤永賢太郎氏、相澤益男選考委員長
(後列左より)小西隼人氏(根本先生代理)、髙木義秀氏、
(前列左より)吉田稔JBA会長、奨励賞受賞者
(石井氏、佐久間氏、杉山氏、関本氏、高橋氏、豊福氏)竹山春子選考委員長
(後列左より)飯島陽子選考副委員長、奨励賞受賞者
(林氏、東氏、本田氏、山野⁻足立氏、吉見氏)、津本浩平選考副委員長、*右上段 受賞者(石原氏)
大賞受賞記念講演会
表彰式の後、受賞記念講演会が行われた。大賞受賞者を代表して木村禎治氏から、アルツハイマー病(AD)の病態に直接作用する薬剤を四半世紀にわたる研究を経て世界でも初めて上市したことが語られ、「多様な背景をもつ人々が結集して互いに協力し合うこと」、「これをやり遂げるのだという強い信念」が力となり、一つひとつの地道な努力で課題を乗り越え成功に至ったことが強調された。
特別賞受賞記念講演では、代表として帝人株式会社の藤永賢太郎氏が登壇し、先天性小児心疾患という深刻な医療課題に対して、日本の伝統的な編物技術と最新の材料科学を融合させ、産学官の真の連携によって革新的な解決策を生み出した果について語られ、100名を超える参加者が熱心に耳を傾けていた。
ご講演中の大賞 木村氏
ご講演中の特別賞 藤永氏
奨励賞ショートプレゼンテーション
講演会の最後は奨励賞受賞者によるShort-Presentationを行った。5分間という短い時間にバイオ産業への発展に繋がる基礎研究の熱い想いを凝縮したインパクトのある内容が御欠席の1名の動画による披露も含め12名の受賞者から語られた。
また、表彰式と講演会に先立ち、今年も、奨励賞受賞者の交流機会の一環として、バイオインダストリー奨励賞の受賞者を対象に座談会形式での受賞者インタビューを行った。その詳細は、機関誌「バイオサイエンスとインダストリー(B&I)」2026年No.2で報告する。
ショートプレゼンテーションの様子
講演会の後、BioJapan 2025の参加者が一堂に会するレセプション会場にて、開会に先立ち、第9回バイオインダストリー大賞、大賞特別賞、奨励賞の各受賞者がステージに登壇し、数百名の参加者から大きな拍手が贈られた。その後、受賞者祝賀懇親会が行われ、歴代受賞者、現・前選考委員、JBA関係者らが受賞者の業績を称え、益々の研究発展を祈念する盛大な宴となった。受賞者からは、今回の受賞への感謝と、今後の研究発展や社会貢献に向けた熱い決意が語られた。