【ニュースリリース】第4回「バイオインダストリー大賞」受賞者決定!

大賞・奨励賞

更新日:2020年7月15日

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一般財団法人バイオインダストリー協会

第4回「バイオインダストリー大賞」受賞者決定!

  (一財)バイオインダストリー協会(会長:阿部 啓子)は、「血液凝固第Ⅷ因子機能を代替するバイスペシフィック抗体医薬の創製による血友病Aの治療革命」の業績に対して、北沢剛久氏(中外製薬(株) 研究本部 創薬薬理研究部長)ら中外製薬(株)と奈良県立医科大学のグループを、第4回「バイオインダストリー大賞」受賞者に決定しました。

 「バイオインダストリー大賞」は、2017年、(一財)バイオインダストリー協会が30周年を迎えるのを機に、次の30年を見据えて "最先端の研究が世界を創る ―バイオテクノロジーの新時代―"をスローガンに、スタートしたもので、バイオインダストリーの発展に大きく貢献した、または、今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰します。

 (国研)科学技術振興機構 顧問・相澤益男氏を選考委員長とする13名の委員からなる選考委員会による厳正な審査を経て、受賞者1件を決定しました。受賞者には副賞300万円が授与されます。

 なお、贈呈式・受賞記念講演会は来たる10月14日(水)、国際的なバイオイベント"BioJapan 2020"の会場(パシフィコ横浜)にて行われます。詳細につきましては、追ってご案内いたします。

< 受 賞 者 >

(敬称略、年齢は2020.4.1現在)

受賞者 所属・役職 年齢
北沢 剛久 中外製薬(株) 研究本部 創薬薬理研究部長 51
服部 有宏 中外製薬(株) 研究本部 シニアフェロー 60
井川 智之 Chugai Pharmabody Research Pte.Ltd. CEO 43
吉岡  章 奈良県立医科大学 名誉教授 75
嶋  緑倫 奈良県立医科大学 副学長、医学部長 65
野上 恵嗣 奈良県立医科大学 小児科 准教授 53

<受賞業績>

「血液凝固第Ⅷ因子機能を代替するバイスペシフィック抗体医薬の創製による血友病Aの治療革命」

 北沢剛久氏ら中外製薬(株)と奈良県立医科大学のグループは、血友病Aに対し「バイスペシフィック(二重特異性)抗体」で生体内タンパク質の作用を代替するという独創的発想で創薬研究にチャレンジし、ヘムライブラ®皮下注を開発した。この新薬は従来製剤と比較し、患者と家族のQOLの劇的な向上や症状の軽症化に加え、医療費のコストダウンが期待される画期的な治療薬である。また、ヘムライブラ®皮下注は2019年において世界約100カ国で承認されており、日本円換算で1,500億円を超える売上げと極めて高い社会的インパクトのあるブロックバスターである。

 同グループは、創薬研究から臨床開発を一貫して産学連携で進め、抗体医薬生産技術として確立した。この業績は、世界に先駆けた日本発の創薬であり、今後、新たな機能性抗体医薬の創出など国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するものと期待され、バイオインダストリー大賞にもっとも相応しいと高く評価された。 


大賞選考委員会

  ※五十音順、敬称略

(委員長)

  相澤 益男  東京工業大学 元学長、(国研)科学技術振興機構 顧問 

(委員)

  太田 明徳  中部大学 教授・総長補佐、東京大学名誉教授
  加賀 邦明  そーせいグループ(株) 取締役
  五條堀 孝  アブドラ国王科学技術大学 特別栄誉教授
  小安 重夫  (国研)理化学研究所 理事
  戸田 雄三  元 富士フイルム(株) 取締役副社長・CTO
  松田 譲   (公財)加藤記念バイオサイエンス振興財団 名誉理事
  松永 是   (国研)海洋研究開発機構 理事長
  宮田 満   (株)宮田総研 代表取締役
         (株)ヘルスケア・イノベーション 代表取締役社長
  三輪 清    味の素(株) 客員フェロー
  室伏きみ子  お茶の水女子大学 学長
  山崎 達美  (公財)実験動物中央研究所 理事
  米原 徹   東レ(株) 技術センター 顧問


<バイオインダストリー大賞受賞者 略歴、受賞理由(敬称略)>


【受賞者】

◆受賞者 北沢 剛久(きたざわ たけひさ)

 中外製薬(株) 研究本部 創薬薬理研究部長

略歴

1993年 東京大学農学部獣医学科 卒業
1993年 中外製薬(株) 入社

◆受賞者 服部 有宏(はっとり くにひろ)

 中外製薬(株) 研究本部 シニアフェロー

略歴

1982年 大阪大学薬学部薬学科 卒業
1984年 大阪大学薬学部応用薬学科 修士課程修了
1984年 中外製薬(株) 入社
2017年 中外製薬(株) 兼 大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授

◆受賞者 井川 智之(いがわ ともゆき)

 Chugai Pharmabody Research Pte. Ltd. CEO

略歴

1999年 東京大学工学部化学生命工学科 卒業
2001年 東京大学大学院工学系研究科 修士課程修了
2001年 中外製薬(株) 入社
2017年 中外製薬(株) 兼 Chugai Pharmabody Research Pte. Ltd. CEO

◆受賞者 吉岡 章(よしおか あきら)

 奈良県立医科大学 名誉教授

略歴

1970年 奈良県立医科大学医学部医学科 卒業
1971年 奈良県立医科大学 小児科助手
1973年 国立大阪病院小児科医員(厚生技官)
1976年 奈良県立医科大学 小児科助手
1978年 奈良県立医科大学 小児科講師
1979年 西独ボン大学 実験血液学および輸血学研究所
1980年 奈良県立医科大学 小児科助教授
1981年 英国ウェールズ大学 血液学教室
1993年 奈良県立医科大学 小児科教授
2002年 奈良県立医科大学 附属病院院長
2008年 奈良県立医科大学 理事長・学長
2014年 奈良県立医科大学 名誉教授

主な受賞・栄誉

1989年 日本小児血液学会賞(大谷賞)
2005年 昭和天皇記念血液事業基金学術賞
2007年 国際血栓止血学会(ISTH)Distinguished Career Award
2010年 小児救急医学会賞(水田隆三記念賞)
2020年 瑞宝中綬章受章

◆受賞者 嶋 緑倫(しま みどり)

 奈良県立医科大学 副学長、医学部長

略歴

1979年 奈良県立医科大学医学部医学科 卒業
1979年 奈良県立医科大学 小児科研修医
1983年 奈良県立医科大学 第2病理学助手
1987年 米国Scripps研究所 リサーチフェロー
1989年 奈良県立医科大学 小児科助手
1990年 奈良県立医科大学 小児科講師
1993年 奈良県立医科大学 小児科助教授
2009年 奈良県立医科大学 小児科教授
2014年 奈良県立医科大学 研究部長
2014年 奈良県立医科大学 血栓止血研究センター長
2020年 奈良県立医科大学 副学長、医学部長

主な受賞・栄誉

1993年 日本血液学会奨励賞
2006年 Bayer Hemophilia Award
2016年 世界血友病連盟(WFH)The Arosenius Fund
2018年 日本血液学会賞

◆受賞者 野上 恵嗣(のがみ けいじ)

 奈良県立医科大学 小児科 准教授

略歴

1991年 自治医科大学医学部 卒業
2000年 奈良県立医科大学 救急医学助手
2002年 米国Rochester大学 生化学
2005年 奈良県立医科大学 小児科助教
2009年 奈良県立医科大学 小児科講師
2012年 奈良県立医科大学 小児科准教授

主な受賞・栄誉

2000年 日本血栓止血学会学術奨励賞
2004年 成人血管病研究振興財団岡本研究奨励賞
2009年および2013年 Bayer Hemophilia Award

【受賞業績と受賞理由(詳細)】

 中外製薬(株)研究本部北沢剛久氏らと奈良県立医科大学のグループは、2000年代初頭より血友病Aにおいて欠乏/欠損している血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)の作用を、2つの抗原結合部位がそれぞれ異なる抗原と結合するように改変された「バイスペシフィック(二重特異性)抗体」で代替するという、独創的発想で創薬研究を進めた。これは「阻害」や「細胞傷害」を作用機序とする従来の抗体医薬とは全く異なる新規の機能付与型抗体医薬開発へのチャレンジでもあった。

 研究開発においては、約4万個もの膨大な「バイスペシフィック抗体」の作製と選抜、1年半以上にもわたる抗体改変の繰り返しという地道で長期にわたる取組みの結果、2010年ヘムライブラ®を同定。血友病A患者血漿/血液でのヘムライブラ®の活性の検討・確認を経て、2012年治験申請・国内第Ⅰ相試験健康成人パート、2013年同患者パートの治験申請・国内第Ⅰ相試験をそれぞれ開始、2015年には国際共同第Ⅲ相試験へステップを進め、2017年米国、2018年日本・欧州で承認・発売開始、と20年近くをかけイノベーションが実現された。創薬研究のみならず、臨床開発においても両者の連携が推進の原動力となり、既存概念を超えた同剤の成功へとつなげた。また、世界初のIgG型遺伝子組換え「バイスペシフィック抗体」の量産化にあたっては、目的の抗体を高い純度で精製するための独自の抗体工学技術(ART-Ig®)も組み込まれており、本技術は今後の新たな機能性抗体医薬開発に大きく貢献する可能性がある。

 商品化されたヘムライブラ®皮下注は、FⅧの欠乏/欠損を起因とする血友病Aの出血傾向抑制製剤としては、従来の週数回のFⅧ静脈内投与に対して、4週に1回投与で出血予防が可能な皮下注製剤であり、家庭療法にも適しているなど患者と家族のQOL向上に大きく貢献している。また、従来製剤による定期補充療法は、「重症」の「中等症化」を図るものであったが、本剤は「重症」の「軽症化」を図るものであると同時に、FⅧに対する同種中和抗体(インヒビター)が発生して止血管理が困難になった患者においても劇的な出血頻度低下を示し、医療費のコストダウン効果も期待されるなど、画期的な治療を提供している。ヘムライブラ®皮下注は2019年において、世界約100カ国で承認され日本円換算で1,500億円を超える売上げと極めて高い社会的インパクトのあるブロックバスターである。

 同グループは、創薬研究から臨床開発を一貫して産学連携で進め、抗体医薬生産技術として確立した。この業績は、世界に先駆けた日本発の創薬であり、今後、新たな機能性抗体医薬の創出など国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するものと期待されるもので、バイオインダストリー大賞にもっとも相応しいと高く評価され、第4回バイオインダストリー大賞を贈呈するに至った。

  

【バイオインダストリー協会について】
 1942年設立の酒精協会を前身とし、発酵工業協会を経て1987年、財団法人バイオインダストリー協会と改称、2011年に一般財団法人に移行した。バイオインダストリー分野の研究開発と産業発展を、産・学・官による連携によって、総合的に推進する日本唯一の組織である。バイオインダストリーに関する科学技術の進歩を通じて、バイオインダストリーおよび関連産業の発展を図り、人々の生活の質の向上に寄与するために、先端技術開発から産業化に至るまでのさまざまな場面で社会に貢献している。企業会員279社、公共会員125組織、個人会員約600人から構成。(2020年4月現在)

【本発表資料についてのお問い合わせ先】
 (一財)バイオインダストリー協会 広報部
 電話:03-5541-2731  FAX:03-5541-2737
 E-mail: award2020(at)jba.or.jp ((at)を@に変換して下さい。)

■ニュースリリースPDF版(548KB)→ award_release_taisho2020.pdf

■第4回バイオインダストリー奨励賞→ 受賞者はこちら

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