第5回バイオインダストリー奨励賞受賞者の紹介

大賞・奨励賞

更新日:2021年12月14日

奨励賞受賞者12人からメッセージをいただきました

1_有泉_スナップ.jpg有泉 亨 氏 筑波大学 生命環境系
「トマト生産省力化に寄与する単為結果性の分子機構解明と応用展開」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして、大変光栄に存じます。選考委員会の先生方、これまでご指導・ご支援・ご助言をいただきました皆様、並びに共同研究者の皆様にこの場を借りて心より御礼申し上げます。私は、受粉がなくても果実が実る単為結果性の制御ネットワークを解明し、その鍵となる遺伝子群を同定しました。また、トマトの突然変異体集団から新規単為結果性変異体を多数単離し、それらの原因遺伝子を同定しました。現在、同定された遺伝子や変異体を活用して、新規の単為結果性トマト品種を開発する実用研究を進めています。これらの研究で、温暖化が進む世界において安定的な果実生産を可能にする技術へと発展させていきたいと思います。

2_太田スナップ.jpeg太田 禎生 氏 東京大学 先端科学技術研究センター
「AIが駆動する画像情報識別・セルソーター群の開発」
この度は奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。この度の受賞は、ご指導くださる先生方、一緒に頭をひねり、研究に取り組んできたアカデミックやシンクサイトの共同研究者の皆様、ファンドエージェンシー、そしてアカデミック内外からご支援くださる皆様のおかげです。深く、心より御礼申し上げます。本研究では細胞形態の情報価値をいかに活用するかにフォーカスし、光学、情報技術、工学を結合した「画像なし」画像情報識別セルソーティング技術を実現しました。目下、産業界・アカデミックから集まった優秀なチームと共に装置実用化を進めており、今後は診断・創薬・細胞治療分野への応用展開を加速させ、社会に貢献することを目指します。

3大谷_スナップ.jpg 大谷 美沙都 氏 東京大学大学院 新領域創成科学研究科
「植物器官再生の分子機構の解明とその応用によるクローン増殖基盤技術の開発」
栄誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。これも本研究をご指導、ご支援いただいた共同研究者や学生の皆様のおかげです。心から御礼申し上げます。私はこれまで、植物器官再生の分子基盤を解明すべく、植物分子遺伝学的研究を行ってきました。その結果、pre-mRNAスプライシング等のRNA代謝制御が鍵となっていること、RNA代謝活性の要求度が器官再生過程ごとに異なることを見いだしました。さらにRNA代謝の人工的制御が葉や根の作り分けにつながる可能性も発見しています。今後は、現状としてクローン増殖が難しい有用植に研究を広げ、テーラーメイド・クローン増殖技術の開発への展開を目指します。

4_佐藤_スナップ.jpg佐藤 和秀 氏 名古屋大学高等研究院・医学系研究科
「近赤外光線免疫療法の応用開発研究」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方やご指導・ご支援いただきましたすべての皆様に心より感謝致します。私は、"第5のがん治療"として注目される近赤外光線免疫療法の機序解明とともに、応用に関する研究に取り組んでまいりました。この革新的な光治療の多様な分野への応用として、がん免疫治療・胸部悪性腫瘍への応用や、新しい光デバイスの開発を進めることで、本治療の適応拡大を見据えた研究開発を進めて参りました。今後も医工連携や産学連携を積極的に行い、医療現場で使える技術開発を目指していきます。

5_清水_スナップ.jpg清水 一憲 氏 名古屋大学大学院 工学研究科
「疾患・創薬研究に資する生体を模倣した新たな神経筋共培養モデルの創製」
この度はバイオインダストリー奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。選考委員の先生方やご指導・ご支援いただきましたすべての皆様に心より御礼申し上げます。私は、動物細胞の機能を最大限に引き出し、それを利活用するための工学技術の研究開発を行っています。本研究では、運動神経細胞と骨格筋細胞を共培養するためのマイクロデバイスを開発し、デバイス上での共培養プロセスを確立したことで、生体を模倣した神経筋共培養モデルを創製することができました。本モデルは、様々な神経筋疾患の研究ツールとしての応用が期待されます。本受賞を励みに、今後も実用化を見据えたユニークな研究開発を推進できるよう精進いたします。

6_武田_顔写真.jpg武田 朱公 氏 大阪大学大学院 医学系研究科
「アイ・トラッキング技術を利用した次世代型認知症検査法の開発と社会実装」

今回、バイオインダストリー奨励賞に選出いただき大変嬉しく思います。私自身は老年内科で認知症の診療に携わる中で、様々な課題に日々直面しています。特に、認知症診療において必須といえる問診式の認知機能テストが、患者さんにとっては大きな心理的負担になっていることに課題意識を持ち、これを新しいテクノロジーで解決できないかと考えてきました。アイ・トラッキングという技術に出会い、これをうまく利用することでこの課題が解決できることに気がつき、研究開発を進めてきました。大学発ベンチャーの設立を通してこの検査法がより社会実装に近づき、患者さんのもとに届けられることを期待しています。

7_樽野_スナップ.jpg樽野 陽幸 氏 京都府立医科大学大学院 医学研究科
「味覚受容を担う細胞分子メカニズムの解明」

この度は、このような栄誉ある賞をいただきとても光栄に思っております。これまでの研究を支えて下さったメンターの先生方、共同研究者、京都府立医科大学、ペンシルバニア大学、科学技術振興機構の皆様、そして家族に心より感謝申し上げます。本研究では、舌の味蕾とよばれる化学センサーが塩などの食べ物に含まれる化学物質を感知し、味覚情報を脳へと伝える細胞分子機構を解明しました。この味覚受容のメカニズムは舌だけでなく全身に存在し、生体防御、代謝調節など様々な全身機能が明らかになりつつあります。本受賞を励みに、味覚をはじめとする生体化学センシングの更なる理解と医療応用に貢献できる基礎研究に邁進していく所存です。

8_長瀬_スナップ.jpg長瀬 健一 氏 慶應義塾大学 薬学部
「機能性界面を用いたバイオ医薬品・治療用細胞の革新的分離精製法の開発」

この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして大変光栄に存じます。選考委員の先生方、御指導いただきました先生方、共同研究者の皆様、そして一緒に研究を頑張ってくれた学生の皆様に心から御礼申し上げます。本研究では、温度応答性高分子をナノレベルで精密に設計して作製した機能性界面を用いることで、抗体医薬品などのバイオ医薬品、幹細胞などの再生医療で用いる治療用細胞の温度制御による効果的な分離精製を可能にしました。本研究で開発した分離精製法は、バイオ医薬品、幹細胞を用いた次世代医療の発展に貢献するキーテクノロジーとなることを期待して研究を進めております。

9_沼田_スナップ.jpg沼田 圭司 氏 京都大学大学院 工学研究科
「クモ糸タンパク質の環境循環型合成と生化学解析に基づいた人工紡糸に関する研究」

この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして、大変光栄に存じます。ご指導・ご支援いただきましたすべての皆様、そして共同研究者の皆様に心より御礼申し上げます。本研究では、環境循環型材料の1つとして、生物素材であるクモの牽引糸に着目して研究を進めてきました。アミノ酸配列の調整や、天然の紡糸機構を理解することで、物性を向上させることに成功しました。また、環境循環型合成として、海洋性光合成細菌を利用したクモ糸タンパク質の合成に成功しました。これらの成果を基に、利用後の高分子材料が環境へ与える諸問題を根本的に解決する環境分解性を兼ね備えた高分子材料を創出する指針を示すことができました。

10野田口_スナップ.jpg野田口 理孝 氏 名古屋大学 生物機能開発利用研究センター
「植物資源の持続可能な利用を目指した接木技術の革新」

この度は栄誉ある賞を賜り、誠にありがとうございます。選考委員の先生方、ご指導・ご支援いただきました先生方、そして共同研究者の皆様に心より御礼申し上げます。私は、地球温暖化に伴い喪失が危ぶまれる植物資源を守るべく、植物科学の道に進みました。本研究では、接木という2つの植物をつないで両方の良い性質を共発揮させる技術について、生物的原理を分子レベルで紐解き、接木の可否を決定する細胞接着の鍵となる細胞壁の消化酵素を発見しました。多彩でたくましい植物の力には目を見張るものがあり、今後も基礎科学と科学的知識に基づく技術の発展に取り組み、将来の持続可能な社会に向けて植物科学で一助することを目指します。

11_藤田_スナップ.jpg藤田 敏次 氏 弘前大学大学院 医学研究科
「遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法の開発およびその応用展開」

この度はバイオインダストリー奨励賞を賜りまして、大変光栄に存じます。選考委員の先生方やご指導・ご支援いただきましたすべての皆様に心より御礼申し上げます。私は、標的とするゲノム領域に細胞内で結合している分子を網羅的に同定できる手法として、遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法を開発しました。本技術を利用し、標的ゲノム領域結合分子を同定することで、当該ゲノム領域が有するゲノム機能の分子機構の解明や、疾患原因遺伝子の遺伝子発現異常の分子機構の解明につながります。本技術は、創薬標的探索および新規分子標的薬の開発につながることから、今後は、本技術を用いた創薬展開を目指していきたいと考えております。

12細川_スナップ写真.jpg細川 正人 氏 早稲田大学大学院 先進理工学研究科
「未培養微生物群集からの網羅的1 細胞ゲノム解析法の開発」

この度はバイオインダストリー奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。選考委員の皆様、これまでご指導いただいた共同研究者の先生方、研究を支えてくれた学生・研究員の皆さんに心より御礼申し上げます。本研究では、これまで困難とされてきた未培養微生物を対象とした1細胞ゲノム解析を高精度・大規模に実施する基盤技術を確立しました。本技術を利用すれば環境中の微生物のゲノム情報を圧倒的な速度で収集することができるため、データを資源した新規の産業用酵素や抗生物質の発見を促し、産業への貢献が期待されます。本技術を元に設立したベンチャー企業bitBiome社を通じて、微生物機能を応用した新たな産業・医療を実現していきます。

奨励賞ロゴマーク横長small.jpg

■第5回バイオインダストリー大賞受賞者インタビューはこちら

記事一覧へ戻る