【報告】アルコール・バイオマス研究会 シンポジウム「バイオマスの利活用を基盤とした循環型社会の形成を目指して~地方自治体と企業の先駆的な取り組み~」

講演会・セミナー 植物 環境 食品

更新日:2020年4月 1日

アルコール・バイオマス研究会は、アルコールに関する生産、流通、消費及びバイオマスの生産、資源化、有効利用に関する情報の交換を通じて我が国のアルコール工業の発展ならびにエネルギー・環境問題の解決に寄与することを目的として活動しております。
本年度、11年ぶりとなる政府のバイオ分野の国家戦略「バイオ戦略2019」が策定され、バイオエコノミー社会の実現に向けた国を挙げた取組みがいよいよ始まります。また昨年には第五次環境基本計画が閣議決定され、環境省が地域循環共生圏の創造に向けた取組みを始めています。
今回のシンポジウムでは、環境、地域、バイオマスをキーワードとしてプログラムを構成しました。

開催日時 2019年12月4日(水) 13:30~17:25
会場 東京大学農学部 フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
参加者数 65名
主催 (一財)バイオインダストリー協会 アルコール・バイオマス研究会

リーフレットはこちら
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開催報告

開会挨拶
鮫島 正浩 氏(アルコール・バイオマス研究会 会長/信州大学 特任教授)

20191204_soyama.jpg「地域循環共生圏の構築に向けて」
曽山 信雄 氏(環境省 大臣官房環境計画課 地域循環共生圏推進室 室長補佐)
 2018年、第5次環境基本計画が策定され、「地域循環共生圏」の創造を通じた、持続可能な循環共生型社会の構築に向けた活動が始まった。「地域循環共生圏」は、それぞれの地域資源と他地域の特性の相互補完的な活用により、地域活力の最大化を目指すものである。活動が進んでいるドイツや全国の自治体の活動状況についても紹介された。

20191204_shindo.jpg「バイオマス産業創造に向けた秋田県の取り組み ~稲わらやもみ殻などの農産廃棄物を原料としたバイオマスコンビナート創設への挑戦~」
 進藤 昌 氏(秋田県総合食品研究センター 醸造試験場 酒類グループ グループリーダー)
 演者らは秋田県で非組み換え菌を用いて、バイオマスからのエタノール生産のプロセスの検討を行っている。講演では、エタノール生産能を有する菌のスクリーニング、およびプロセスの検討について解説された。本プロセスで得られたエタノールは、秋田杉の抗菌成分、香り成分を加え、消毒用エタノールとして利用が検討されている。演者らは今後、バイオマスからバイオ燃料、ファインケミカル、食料・飼料を製造するバイオマスコンビナートの構築を目指している。

20191204_masumoto.jpg「佐賀市における地域バイオマスを活用した産業化への取り組み」
 増本 嘉浩 氏(佐賀市 バイオマス産業推進課 藻類産業推進室長)
 佐賀市は「廃棄物がエネルギーや資源として価値を生み出し循環する町」になることを目指している。下水処理水の放流先の有明海では海苔が養殖されており、活性汚泥から肥料を製造して販売している。清掃工場では、廃油からバイオディーゼルを製造し、発生する二酸化炭素は藻類の培養や作物の栽培に活用している。藻類から抽出したアスタキサンチンを含むサプリメント、化粧品は商品化されていることが紹介された。

20191204_nakino_kohara.jpg「食品容器・器具へのバイオマス資源活用の可能性 ~高濃度セルロースファイバー成形材料を活用した「森のタンブラー」の社会実装~」
 古原 徹 氏(アサヒビール(株) パッケージング技術研究所 副課長)
 名木野 俊文 氏(パナソニック(株) イノベーション推進部門 マニュファクチャリングイノベーション本部 生産・環境技術研究所 第一研究部 主幹)

 セルロースナノファイバー(CNF)は結晶化しやすく、軽量・高強度・高弾性・熱変形しにくい。パナソニックは家電に使用できるCNF複合樹脂を開発した。アサヒビールはパナソニックの技術に着目し、両社は木質原料からのタンブラーの開発を共同で行った。設計では木目調の外観を実現し、きめ細かい泡を生み出す内面構造を作ることをコンセプトとした。出来上がった「森のタンブラー」は泡立ちがよく、繰り返し使うことができ、しかもデザイン、質感で消費者の高評価を受けているとのことである。
(写真上:パナソニック(株) 名木野 氏、下:アサヒビール(株) 古原 氏)

20191204_yoshisato.jpg「酒類の地理的表示制度の概要と活用に向けて」
 吉里 臣平 氏(国税庁酒税課 地理的表示係)
 地理的表示(Geographical Indication, GI)は、酒類や農産品で産地のブランドを守る制度であり、地域ブランドによる差別化、信頼性の向上、市場での販売価格維持(向上)という点でメリットがある。国税庁はGIの普及を行うために、国内でシンポジウムを開催しており、GIの活用による日本産酒類の輸出促進に向けて、G20大阪サミットの機会等でPR活動を行っている。

閉会挨拶
 徳安 健 氏(アルコール・バイオマス研究会 副会長/(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 食品生物機能開発研究領域 生物資源変換ユニット ユニット長)

 本シンポジウムでは、循環型社会を目指した国の構想を知り、先行して実績を上げている地方や企業の取り組みが紹介された。先行して成果を上げている地方自治体や企業の活動に感銘を受けた。GIはフランスワイン等で有効に活用されていることが知られているが、日本でも普及が進み、輸出の増大に貢献することを期待したい。

※本研究会の運営・企画、および本会の活動を通じた先端技術情報等の収集およびネットワーキング等にご興味がある方を新規会員として募集しています。詳細は下記事務局までお問い合わせください。なお、ご入会はJBA法人会員・個人会員(ただしアカデミア所属の方のみ)に限ります。

お問い合わせ

(一財)バイオインダストリー協会
アルコール・バイオマス研究会 事務局(担当:本山・村瀬・尾崎・青木)
TEL:03-5541-2731
E-mail:greenbio(at)jba.or.jp  ※(at)は@に置き換えて下さい

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