会長挨拶
次世代バイオインダストリーへの道

本年6月11日、政府は「バイオ戦略2019:国内外から共感されるバイオコミュニティの形成に向けて」を決定しました。バイオテクノロジーを活用した事業創出の国際戦略と位置づけ、4つの実現したい社会像とともに、9つの市場領域を設定しています。
これまで、バイオテクノロジーはライフサイエンスと共生し、医薬品・医療・ヘルスケア、化学・素材・エネルギー、食料・食品・一次産業、環境・生活、などの産業の発展に貢献してきました。発酵、品種改良、細胞融合、遺伝子組換え、バイオ医療、生物農薬、バイオケミカル、バイオリアクター、バイオエネルギー、再生医療、遺伝子診断などがその標的でした。
ところが近年、食糧、高齢社会、健康・疾病・難病、環境、資源などの地球規模の課題が浮上し、これらの社会システムを大きく変革させ得るバイオ産業に期待が寄せられています。例えば、世界一の超高齢社会の我が国にとって、生活の質(QOL)を満足させる健康長寿社会を実現するバイオ産業は、国際市場のモデルとなります。そのため、バイオテクノロジーとデジタルサイエンスの融合が求められています。つまり、デジタルサイエンスを仲立ちとし、ヘテロな個別バイオ産業を融合することにより社会システムを変革する戦略です。いわば、"シスとトランス"の相互作用です。
産・官・学の会員からなるバイオインダストリー協会におきましては、伝統的な日本固有の独創的バイオ技術の革新に加えて、国際社会システムに貢献する産業創出への役割が求められております。その実現に向け、人材育成と産業育成を両輪とする当協会の活動が期待されています。微力ながら私は、会長として尽力する所存でございます。
一般財団法人バイオインダストリー協会
代表理事 会長 阿部 啓子