NEDOスマートセルプロジェクト技術セミナー 要旨集
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NEDOスマートセルプロジェクト全体概要 林 智佳子 NEDO 材料・ナノテクノロジー部 主査/プロジェクトマネージャー 【連絡先】E-mail: hayashickk@nedo.go.jp 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、生物機能を活用したものづくり関連技術を開発するため、2016年度から「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」(スマートセルプロジェクト)を開始しています。生物細胞が持つ物質生産能力を最大限に引き出した“スマートセル”を作り出すための技術として、バイオテクノロジーと情報解析技術の融合によって高度に生物機能をデザインする技術や機能発現を制御するためのゲノム編集技術・代謝制御技術・環境制御技術の開発に取組んでいます(図1)。従来合成法では生産が難しい有用物質の創製又は従来法の生産性を凌駕するための基盤技術を確立し、将来的に生産プロセスの低コスト化・省エネ化を目指します。 本プロジェクトで開発する技術を用いることによってスマートセルを効率的に創製し、高機能品生産につなげていくことで、工業(ものづくり)、エネルギー、農林水産業、医薬等の様々な分野で生物資源や生物機能のさらなる高度利用が可能になります。特に、石油等の依存度が高い工業製品の生産プロセスにスマートセルが活用されるようになれば、環境負荷低減やCO2排出量削減と持続的経済成長の両方の求めに応じたサスティナブルなものづくりの実現に近づくことができます。これは世界的にも取組が活発化しているバイオエコノミーに通じるものです。 図1.スマートセルプロジェクトの概略 プロジェクトでは、植物機能と微生物機能を活用するテーマを推進しています。新しい共通基盤技術を開発しながらその技術の有効性を検証することによって実用化技術を確立する研究開発項目(研究開発項目①、③)と特定の生産ターゲットを設定し将来的な事業化を目指して生産性向上や培養・栽培条件の最適化を行う研究開発項目(研究開発項目②、④)で構成されます(図2)。2

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