NEDOスマートセルプロジェクト技術セミナー 要旨集
18/24

DNAバーコードとゲノム編集を用いた 新規DNAアセンブリ技術 谷内江 望 東京大学 先端科学技術研究センター 准教授 【連絡先】 E-mail: yachie@synbiol.rcast.u-tokyo.ac.jp 長鎖DNA合成とクローニングは、いずれも化学合成された短鎖DNAのアセンブリ反応からはじまる。一方で、アセンブリ反応効率自体が必ずしも高くないために、反応産物から目的産物をクローン化して単離する必要がある。通常はアセンブリ反応産物によって微生物細胞の形質転換を行い、細胞クローンを無作為かつ大量に単離、正しいアセンブリ産物を持つ細胞クローンを同定し、そこから目的のDNAを回収する。しかしながら、長鎖DNAやリピート配列を含むDNAのアセンブリ効率は必ずしも高くなく、大量の細胞クローンの単離とそれらがもつDNAの同定を必要とすることが長鎖DNA合成などにおけるプロセスのボトルネックとなる。自動化技術においても同様の課題がその拡張性のハードルとなっている。本講ではDNA分子バーコード技術、ゲノム編集、超並列DNAシークエンシングを組み合わせることによって、大量かつ無作為な細胞クローンの単離と同定を必要とせずに、高効率に目的のアセンブリ反応産物のみをクローニングするClone Select法を紹介する。 図1. 新規DNAアセンブリパイプラインの概念。アセンブリ反応においてすべてのアセンブリ反応産物分子がDNAバーコードによって特異的に標識される。アセンブリ反応産物を用いて一斉に出芽酵母細胞あるいは大腸菌細胞を形質転換後(あるいは細胞内におけるDNAアセンブリ反応後)、細胞からDNAを回収し、超並列シークエンシングによってDNAバーコードとアセンブリ反応産物を一斉に同定する。その後、目的のアセンブリ反応産物を保持する細胞にはDNAバーコード依存的に蛍光ラベルあるいは薬剤耐性が付与される。これをフローサイトメトリーセルソーターあるいは薬剤選択によって単離することができるため、困難なDNAアセンブリ反応であっても目的のDNA産物を高効率で得ることができる。 17

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る