私たちひとりひとりの体の特徴は、細胞に格納された遺伝子に大きく規定されています。この遺伝子のなかには重要な個人の情報が含まれているため、医療や研究の現場では、遺伝情報を慎重に取り扱うことが求められています。

DNAのなかに遺伝子がある
 お母さんに似ている、お父さんとそっくり――そのようにいわれた経験がありませんか? 私たちが両親の特徴を受けつぐことを、遺伝と言い、地球上の動植物に共通しています。
ヒトのDNAパターン
 遺伝に直接関わっているのは細胞の中にある核に含まれるDNAです。DNAのなかに遺伝子があります。ひとつひとつの細胞が持っているDNAは、2つの糸がらせん状に絡みあうような形になっており、核のなかに折りたたまれた状態で格納されています。

ひとりひとりの遺伝情報
 遺伝子はある種の暗号を使って、情報を記録しています。それに関係しているのが、塩基と呼ばれる4種類の物質です。これらの塩基は遺伝子の上に並んでいて、その配列によって、さまざまな遺伝子情報となっています。ひとりひとりの遺伝子に含まれる情報は個人遺伝情報*と呼ばれ、人によって千差万別です。
 こうした遺伝子の仕組みの解明に向けて、世界中の研究者が取り組んでいます。特に力が注がれているのが、人間の遺伝子、つまりヒトゲノムとその働きについての研究です。

 遺伝子とDNAの関わり
遺伝子研究と私たちのくらし
遺伝子研究のなかで注目を集めているのが、人間の遺伝子情報を使って薬を作るゲノム創薬や遺伝子レベルから病気を治す遺伝子治療などの医療・医薬分野です。
 また、最新の遺伝子研究の成果を利用して栽培しやすい、おいしい、あるいは有用な物質を作る遺伝子組換え作物などもその例です。

遺伝情報と生活環境
私たちの体格や体質などは遺伝による影響が大きいと考えられています。しかし、性格や体力や知力などが遺伝によってすべて決定されるわけではありません。社会環境や生活習慣、学習などによって変わります。また、特定の病気にかかりやすいかどうかも遺伝子の中に記録されていますが、かならずしもその病気にかかるというわけではありません。

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