遺伝子についての研究が進み、さまざまな技術が実用化されていくとともに、個人遺伝情報に関わるプライバシーや人権などについて私たちが考えることを求められています。

遺伝子研究と私たちのプライバシー
 遺伝子には個人の特徴などが記録されています。個人の遺伝子情報が分かることにより、病気の治療や生活習慣を事前に改善するなどの予防もできます。同時にひとりひとりに特有の情報を含むためむやみに公開されると支障が出てくる可能性があります。
 たとえば、出生前診断*や遺伝子診断から、将来ガンやアルツハイマー症になる可能性が高いといった結果も出てきますので、就職活動や生命保険加入などが不利になることもあるかも知れません。
 このように遺伝子研究は私たちのプライバシーと密接な関係があります。

プライバシーを守るために
ヒト試料(血液)
 遺伝子研究には広く一般の方々からから提供される遺伝子情報が必要になります。人間の外見や性格が十人十色であるように、遺伝子にもそれぞれの特徴があるので、多くの人々の遺伝子を分析しなければ、効果的に研究成果を上げることはできません。
 一般に研究で使われるのは、人間の血液や口腔内などの人間の細胞で、これらをヒト試料と呼びます。
 ヒト試料を用いて得られた研究成果は遺伝が原因で起きる病気の解明や、治療のための新薬の開発などに役立てられています。
 ヒト試料を提供した人の権利を守るためには、医師や研究者が十分な説明を行い、提供者が納得・同意してから治療や研究をはじめます。これをインフォームド・コンセント*といいます。

人権の保護と医療の向上
また、提供者のプライバシーを守るために個人遺伝情報を匿名で扱うことも必要です。匿名性を保つには、さまざまな方法がとられており研究者自身には誰の遺伝子なのかわからない形で遺伝子の解析を行うという流れで研究が進められます。
ひとりひとりのプライバシーを保つために、私たち自身も個人遺伝情報についてよく理解し、その重要性を認識しておく必要があります。

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