世界中で、倫理的な視点から遺伝子研究のあり方が検討されています。より有効に、より深くこの問題を検討していくためには、研究者、医師、企業、行政機関だけでなく、私たちひとりひとりが遺伝と倫理の関わりについて考え、その仕組みづくりに参加していく姿勢がなによりも大切です。

大切にしたいみんなの個性
 地球上の生物が持つ遺伝子は、生命の謎をさぐるときに欠かせないキーワードです。遺伝子研究は、ある意味では多様な生物のなかから普遍的な原理、共通するコトバを見出すことを目的としてきたといえるでしょう。
 遺伝子の配列と働きに関する遺伝子研究は、まだはじまったばかりといえます。遺伝子を研究すればするほど、ひとりひとりがいかに異なっているかがわかります。人の遺伝子にも、その人によって異なる豊かな個性を支える情報が盛り込まれているからです。

遺伝子研究と人権の問題
 人権とは、誰もが生まれながらに持っている権利です。人間が人間らしく生きていくための誰からも侵されることのない基本的権利です。
 遺伝子研究の進歩だけを優先して、プライバシーが保護されなかったら、人権無視につながります。それを防ぐためにも、人権に十分配慮して研究を進めていかなければなりません。

自由な議論
 遺伝子研究は、ひとりひとりの個性を明確にするとともに、人が共通に持っているものも明らかにします。それだけに、私たちはあらゆる意見に耳を傾け、ひとりひとりの個性的な考え方を大事にしながらも、みんなで倫理を守っていかなければならないのです。
 遺伝と倫理の関係を考えることから、私たちは人間らしく生きていくことの意味も学んでいくことができるでしょう。
 私たちがすることは、ひとりひとりが遺伝と倫理について関心をもつことです。安易に誰かが決めたことに従うのではなく、また自分ひとりで勝手に決めればよいというものでもなく、医師や研究者、患者やその家族を含めたさまざまな立場の人達、私たちひとりひとりが考えていきたいものです。

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