技術紹介

"未培養/難培養微生物の可培養化技術"と"100万検体探索のミリオンスクリーニング技術"の開発

スマートセルの構築には、設計された代謝経路に基づき、既知の遺伝子・タンパク質情報を元に構築されたデータベースから適切な遺伝子候補を選抜する必要があります。一方、人類は地球上の微生物のうち、0.02%しか利用できておらず、99.98%は利用できていない未培養・難培養微生物と言われています。そのため現在は、培養可能なわずかの微生物から得られた知見に基づいて、バイオインフォマティクス技術を駆使して機能・活性などを予測しながら、限られた、もしくは、偏った生物資源を利用せざるを得ないです。この既知の遺伝子・タンパク質の情報に基づいた機能解析予測の限界により、"スマートセルの部品不足"に行き当たっています。さらに標的の遺伝子が既知タンパク質との配列相同性が極めて類似していても、1アミノ酸の変異が基質特異性や活性強度を変化させうるため正確な予測は困難です。すなわち、様々な情報科学的技術を組み合わせだけでは不十分であり、同時に、活性を指標として目的のタンパク質・酵素をスクリーニングする技術が不可欠です。
さらに、代謝経路を設計する際には、中間代謝物間の変換を触媒する酵素が実在しない代謝経路のデザインも可能となりつつあることから、このような課題の解決にも、活性を指標としたミッシング酵素のスクリーニング技術は有効な手段です。特に、地球上の99%以上の微生物は、単離・活用されていない現状を踏まえると、このような未利用微生物が、これまでに取得されていない酵素や代謝系を有することも十分に期待されます。
今後ますます増大するであろう、多様なターゲット化合物の生産というニーズに応えるには、スマートセル技術の活用が不可欠である中、宿主微生物の拡充とともに、酵素/代謝系のスマートセルの部品拡充が期待されることから、新規遺伝子資源探索技術をさらに効率化させる必要があります。
そこで本事業では、ハイスループット性の向上(1000倍以上の効率化・低コスト化)、未培養/難培養微生物を培養単離可能にして取得できる遺伝子資源の範囲拡大、菌体内/外の活性や物質生産性・生育を同時に評価可能な技術を開発しています。この技術のことを、"未培養/難培養微生物の可培養化技術"ならびに100万検体やそれ以上の探索能力を目指して、"ミリオンスクリーニング技術"と称しています。

最終更新日:2022年11月12日 23:35