プロジェクト主旨

Project Purpose

NEDO「スマートセルプロジェクト」とは?
地球環境の維持と持続可能な経済にとって、の一つの答え

1.スマートセル? 「賢い細胞」? 何が賢いのでしょうか?

 微生物は人々の暮らしに役立つ様々な物質を作り出す能力を持っています。アミノ酸・核酸などの調味料、日本酒などの酒類、食品加工などに使われる酵素、医薬品の原料など。人間は、時間をかけて、その能力を少しずつ少しずつ高めてきました。

 この微生物の持つ物質生産能力を人為的に高めたものがスマートセル。最先端の技術を使えば、その微生物が本来作ることができない物質も、生産できるように改変することが可能になりつつあります。

 例えば、私たちが血液循環の改善のために摂取する「血液サラサラ」のためのEPA(エイコサペンタエン酸)という物質があります。このEPAは主にイワシやサバ、アジなどの青魚の生体内の脂肪酸から抽出されています。しかし、現在この原料である青魚資源の枯渇が危惧され、新たな原材料の確保が課題になっています。

 一方、魚以外にも、藻類がEPAを作ることは知られていますが、この藻類によるEPA生産の製造効率が低いことも同じく知られています。しかし、もしこの藻類の細胞が持つEPAを合成する機能を、酵母等(例えば油脂酵母等)の微生物を用いて、人為的手段により大量に生産することができれば、この課題は解決します。すなわち、私たちは、イワシやサバという天然資源を消費することなく、大量のEPAを生産することができるようになります。

 こんな場面に登場するのが「スマートセル」です。「スマートセル」=「賢い細胞」とは、高度にデザインされ、これまで利用し得なかった生物機能が引き出された細胞であり、例えば、目的とする物質の製造機能を合理的に高めた細胞のことを言います。さらには、1つ1つの細胞が物質生産工場になることで、産業化が実現します。

 「スマートセル」は、このように現在の産業界が抱える様々な課題を解決する優れた手段として、近年、世界的にも期待されてきました。そして、その期待は、「スマートセルプロジェクト」による技術開発の成果として、具体的な事例を積み重ね、いま現実のものとなろうとしています。

2.スマートセル創出プラットフォームを構築しました

 スマートセルプロジェクトの成果の一つは、「スマートセル」を作る一連の研究開発工程を効率的に進めるためのプラットフォームの構築です。

 スマートセルプロジェクトでは、スマートセルを作成する工程を「Design・設計」→「Build・構築」→「Test・評価」→「Learn・学習」の4つのプロセスに分類し、それぞれの工程に必要な技術を開発したうえで、それらの技術を統合したプラットフォーム、「スマートセル創出プラットフォーム」を構築しました。

 この5年間にわたるプロジェクトの研究成果であるスマートセル創出プラットフォームを活用することで、この事業領域への参入を希望する新たな企業や研究者が、従来に比べて短期間に事業化を達成することを可能にします。

3.スマートセル創出プラットフォームを活用してください

 石油をベースとした産業による近代化は大きな役割を果たした一方、様々な地球環境の課題も生み出しています。スマートセルインダストリーは、これらの課題を解決できる次世代の産業としても期待されています。

 世界の海を汚染するプラスチック問題1つ取り上げても、化石資源に由来しない生分解性プラスチックの工業化は火急の問題です。産業発展と引き換えに、地球の温暖化や環境汚染も進める石油資源活用に対して、積極的な生物資源・生物機能活用に軸足を置くスマートセルインダストリーは、言葉通りの意味で21世紀の人類を支えるものとなるでしょう。

 このようにスマートセルインダストリーの扉が開かれつつあります。明日からでもスマートセルインダストリーの仲間に入りたい方は、スマートセル担当窓口にご連絡を! ⇒ 

最終更新日:2020年10月22日 17:30